ハロウィンは苺色に染めて。【短編合作×すとぷり】

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店も仕舞い、飾りの片付け。

るぅとさんも手伝ってくれている。

今晩はどうするのかな。
聞かないと。


「るぅとさん、この後…！」

彼を見て、驚いた。

いつの間に来たときの服を着ている彼は、あの大きい袖で目を拭っていた。


「ごめん、なさい、こんな男が泣いて。情けないですよね…
でも、キミに嘘をつきたくない。
これから話すことを、聞いてくれる？」


頷くほかなかった。
彼の目は、眩しいくらい真っ直ぐに瞬いていた。




“僕、悪魔なんです”




その言葉は、彼の口から零れるように出てきた。

「本当にごめんなさい、妖精だなんていって。
でも、ずっと憧れてたキミに嫌われたくなかった。」

「ずっと…？」


彼は、全てのことを話してくれた。

ずっと前から私のことを知っていて、唯一悪魔と人間が渡り合えるハロウィンの日を待っている。
だが、悪魔には掟があり、悪魔は人間の悪魔に関する記憶を全て消魔法でさなければならない。


「じゃ、じゃあ…！？」

「うん。キミと会うのは初めてじゃないんだ。何年も前から、ずっと。」


そんな。

会った記憶は全くない。

これが悪魔の魔法なのだろう。



でも、忘れたくない。


…気持ちに気づいてしまったから。

でも、世界を跨いだ掟に、私がどう足掻けよう。


「忘れたくない、です
…何か、方法は無いんですか…！」

「…僕だって、忘れさせたくない」


目を瞑り、ちょっと困ったような表情でぱんと手を叩く。

二つのキャンディが、テーブルの上に転がった。

一つは赤黒い色、もう一つは彼の目の色。


「これは、禁忌を犯すようなことです。ギリギリなので…」

そう言いながらも、どこか嬉しそう。


「この黄色いのは、魔法の打ち消し。かけた形と同じ形で解かないといけないので。」

「！…だから配ってたんですね」

「はい。キャンディなら皆食べてくれるし。」


口をつぐんでしまった彼。
何も言わないので、聞くことにした。


「こっちの、キャンディは」

「ごめんなさい、本当は出すつもり無かったのに。僕の我が儘なので…
この赤いのは、僕をここに呼び出すキャンディ。ハロウィン限定。」

ここまで渋る理由とは。

「邪道だと思うんですけど…
舐めたら、どうなりますか？」


「…死ぬか、悪魔になるか。」


悪魔になれば、ずっと一緒にいられる…？


「でも、キミを失いたくない」


「そろそろ時間みたいです」


「最後に、これだけ」




“ずっと、好きだよ”

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