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ハロウィン当日。
飾り付けの最終チェックとお菓子作りで、毎年私は必要以上に早く起きてしまう。
カランカラン…
こんな時間に…?誰…?
「すみません、この時間まだ…ッ?」
そこにいたのは、私が想像していたような子供ではない。
背丈は私よりも高く、指通しのよさそうな真っ直ぐな黄色い髪に、レモンのように黄色い目。
ジャックオーランタンの帽子に、燕尾服みたいなのに袖口は大きいジャケット、ズボンはゆるっとしているのに、カチッとしたブーツ。
手に持った風船は、赤、黄、青、紫、オレンジ、ピンクの六色。
とりあえず、この辺の子供ではない。
なんなら私より年上の男の子。
「ここ、お菓子屋さんですか?」
彼の声は、子供でもないけど大人でもない。
あまり大きくもないけど透き通っていて、私の耳にはよく届いた。
お、お客さんかな…
「は、はい…どれをお求めでしょうか?今なら、カボチャプリンとか、カボチャのモンブランとかがおすすめですけど…」
彼はしばらく考えてから、首を横に振った。
「ううん、それ。お姉さんが持ってる、マカロンください。」
「あ、あのこれ…とてもお出しできる物では…」
「じゃあ、こう言えばいいかな」
“Trick or treat.”
「これ、キミが作ったんですか!?」
「あ、はい一応…」
店のはしっこのイートインスペースでマカロンを頬張る彼。
「絶対これお店で売った方がいいですって!」
「あ、ありがとうございます…?」
「ご馳走さまでした。」
「はや!?」
セットになっているそれを食べ終わった彼は、こう言った。
「じゃあ、僕からのお返し。」
手をぱんと鳴らすと、テーブルにはキャンディがたくさん転がっていた。
「!?」
「食べてみて、美味しいから。話はそれからします。」
恐る恐る手に取った黄色のキャンディ。
口に入れたそれはレモン味だった。
「僕は、カボチャに取り憑く妖精なんです。
毎年ハロウィンに色んな町を回って、美味しいお菓子をたくさんもらって。
今日まではお宅のジャックオーランタンに居候させてもらってました。」
ん、…?
ちょっとよく分からない。
構わず彼は続ける。
「ごめんなさい、色々回る予定だったんですけどキミと話して気が変わりました。
今日一日、ここのお手伝いをさせて貰えませんか?」
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美怜(プロフ) - ハロウィン短編に参加させて頂きとても楽しかったです!笑 また機会がありましたらよろしくお願いしますm(*_ _)m (2019年10月31日 19時) (レス) id: a91e59d2ae (このIDを非表示/違反報告)
愛羅@歌野同盟@friend ship(プロフ) - 今回の合作に参加させてくださり、ありがとうございました!とても楽しかったです! (2019年10月31日 18時) (レス) id: 0cf9d97a48 (このIDを非表示/違反報告)
ふぇいふぇい(プロフ) - ha波さん屋さん» いえいえ!こちらこそ本当にありがとうございました! (2019年10月31日 18時) (レス) id: bed35b9be5 (このIDを非表示/違反報告)
星羅みぃ@向日葵交換日記めんばー - ha波さん屋さん、合作本当に有難うございました! (2019年10月31日 18時) (レス) id: ce8d88a2da (このIDを非表示/違反報告)
ha波さん屋 - ふぇいふぇいさん» 全然大丈夫ですよ。短い時間の中、お書き頂き誠にありがとうございました! (2019年10月31日 16時) (レス) id: dfbaedbf2e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ha波さん屋 x他4人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/uraakadesuyo1/
作成日時:2019年10月15日 20時