ハロウィンは苺色に染めて。【短編合作×すとぷり】

俺だけのもの【ななもり。】by美怜 ページ13

「な、ななもりさん…」
　
　
　
　
「にゃおん」
　
　
　
　
「…え、ななもりさん？」
　
　
　
　
「にゃ〜」
　
　
　
　
「う、え、え、ちゃんと喋って…」
　
　
　
　
「あははw」
　
　
　
　
私の手に頭を擦り付けて幸せそうな顔をするななもりさんに私はソファから動くことが出来ない
　
　
いつも通りの日、同棲をしていたはずなのに今日は朝からおかしかった。
　
　
たとえばななもりさんの頭に耳が生えたり、下半身にはしっぽが出てきたり。非現実的なことが起こっていて目の前のことが理解し難い。
　
　
ちなみにわかったことは一つだけ。ななもりさんは猫と人間のハーフだということ。それだけ。
　
　
　
　
「ねえまじ猫いいかもしんない」
　
　
　
　
「じゃあライブ出れませんね、その格好じゃ」
　
　
　
　
「仮装だよ〜って言えば出れない？」
　
　
　
　
「そんな紫色の猫なんて見たことありません！」
　
　
　
　
「え、あたりつよ」
　
　
　
　
そういえば…
　
　
10月31日、ハロウィン…？
　
　
　
　
「いやいやいや、そんなわけ」
　
　
　
　
「ん〜どうしたのにゃっ？」
　
　
　
　
「ンン、なんでもないです…はぁ、可愛い…」
　
　
　
　
ソファに丸くごろーんと横になるななもりさんの頭を優しく撫でる
　
　
　
　
「めっちゃ気持ちいい…」
　
　
　
　
目を細めて気持ちよさそうにしながら肉球のついていないその手で私の太ももをつつく
　
　
　
　
「ね、膝枕がいいなぁ」
　
　
　
　
「えー甘えん坊、…いいよ？」
　
　
　
　
「んふふ〜」
　
　
　
　
起き上がって少し場所をずれると太ももに重さがかかった
　
　
　
　
「なな猫ちゃーん、どう？」
　
　
　
　
再び頭を撫でると同じように目を細めて私を見てくる
　
　
その姿がとても可愛らしくて、とても愛おしい。
　
　
こんなに甘えてくる彼を見るのは初めてなので少し照れるし緊張もするが、きっと今日だけの魔法と考えて無心で頭を撫で続ける
　
　
　
　
「可愛いです、ななもりさん」
　
　
　
　
細めていたその目はやがて閉じていく
　
　
なんだか喉仏からも声が聞こえるような気がするけど本当に猫っぽいなぁ…
　
　
手を止めてマジマジと彼を見つめる
　
　
　
　
「今日だけは絶対にあなただけのものですよ、私は」
　
　
　
　
再び頭を撫でると気持ちよさそうに一定のリズムで寝息を立てた


肉球ではないその彼の手には私の手が握られていた

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