第百十七話『偽物ダッタ』 ページ6
それから敦とのメールは数分続いた
ポートマフィアは鼠の潜窟を片っ端からあたっていることや、谷崎は今のところ無事なこと
探偵社は乱歩さんの推理した“共喰い”の異能者の元へ向かっている最中だということ
『……しかし、あのドストエフスキーが“共喰い”の異能者を簡単に乱歩さんに推理させるとは思えぬ』
ならば態とドストエフスキーが探偵社を陥れたというわけか?否、待てまだ探偵社は向かっている最中、陥れた事実はまだ────
樋「……先輩、顔色が悪いです。少し休まれては?」
『……心配無用』
樋「では、無花果を食べて腹拵えを!」
『……少し貰おう』
嬉しそうに返事をした樋口は台所にある冷蔵庫を漁る
……此奴、いつの間に僕の執務室の冷蔵庫に無花果を入れやがった?
樋「お飲み物は?」
『水でいい』
そう云い、携帯を見る
何か引っ掛る。一体この腑に落ちないものはなんだ?
『……』
“油断するな。今向かっている奴が
本当にウイルス異能者であるか見極めろ”
そう打って送信する
見極めるなんて無理があるか……そう思いながら返信を待ったが、携帯が鳴ることは無かった
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“偽物だった。ごめん”
数時間後、そのメールと共に上の階から破壊音が聞こえた
音に驚く樋口の横をすり抜け携帯を持ち、上の階へと向かう
『……っ、姐さん!』
紅「芥川……済まんのう。逃がしてしまった」
振り返りそう云う姐さんの表情は悲しそうだった
見れば部屋の壁に大きな穴が空いている
『……首領は』
紅「無事じゃ、ただ童は逃げられた……鏡花が助けに来てからな」
『鏡花が……』
此処は鏡花にとっては庭のようなもの
数ヶ月前、何を血迷ったか鏡花とかくれんぼをしたことがあった。その時に天井裏や裏経路に隠れた芥川を持ち前の才能で見つけだした
『(……あの、かくれんぼの所為で鏡花は裏の道を覚えたのか)』
数年前のことだ。芥川は、書類から逃げまわり、隠れた迷惑包帯男を必死に探したことが何度もあった。決まってその男は川に流れているか、マフィア内の隠し通路や裏部屋に居た
『……一層の事、裏や隠し部屋やらに
紅「一先ず、鴎外殿を地下に」
紅葉の一言で部下が動き出す
芥川はじっと外を眺めながら携帯を握り締めた
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らしろ(プロフ) - 乳酸菌 チーズさん» コメントありがとうございます。やっと続編に続きます。明日には5を公開できると思いますのでお待ちください!ご愛読ありがとうございます。 (2020年3月15日 13時) (レス) id: 2b7c5de986 (このIDを非表示/違反報告)
乳酸菌 チーズ(プロフ) - 頑張ってください〜待ってますのでー! (2020年3月15日 3時) (レス) id: df6c59ac1d (このIDを非表示/違反報告)
らしろ(プロフ) - ぴのさん» コメントありがとうございます。時間に余裕ができれば黒の時代もやりたいなと思っています。ご愛読ありがとうございます! (2019年7月1日 22時) (レス) id: 2b7c5de986 (このIDを非表示/違反報告)
ぴの(プロフ) - いつか黒の時代も見たいです…… (2019年6月30日 22時) (レス) id: 5f84d6c253 (このIDを非表示/違反報告)
らしろ(プロフ) - りんさん» コメントありがとうございます。楽しみにしてくださると嬉しいです。頑張ります! (2019年6月22日 22時) (レス) id: 2b7c5de986 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:らしろ | 作成日時:2019年6月22日 17時