第百五十二話『羨マシイ光景』 ページ41
『立原だと!?』
樋「はっ、はいっ!そうです!」
芥川の張り上げた声で樋口は後ろを勢いよく振り向く
来るとは思っていなかった芥川は少し嬉しそうに車から出る。
『……立原』
しかしいざ、待ちに待った部下(立原)を目の前にするといつもの無表情の顔に戻ってしまう芥川
そして幹部の表情に体が固くなる立原
立「……あ、の……すみません。折角、誘ってもらったのに遅刻してしまって……」
『そうだ、遅刻は悪い。連絡の一つも寄越さず何をしていた?』
立「……っ!」
立原は目を逸らして口を噛んだ。
余程云いたくないのか、それとも負のオーラガンガンの芥川に脅えているのか。
『……立原』
立「すっ、すみません!罰なら何でも……」
『……罰など与えるわけないだろう』
立原の頭に手を乗せると体がピクリと震える。
そんなに怯えるなと云いたいが、反省しているのは此方にとても伝わっている。
『心配した』
立「……えっ」
『電話をしても繋がらない、何も連絡がない。何かに巻き込まれるなんて有り得ないが……でも心配したんだ』
立「兄貴……」
じんっと感動している立原の視界に殺気を放つ樋口が映って思わず息を呑む
それを知らずに芥川は自分の外套を立原に羽織ってあげる
立「えっあっ……あの!」
『酷い顔だ。人のことは云えんが、もっと寝ろ』
樋「くっ、なんとも羨ましい光景!!せっ、先輩!寒いでしょう!?私の外套をお遣いください!」
『否、女性の外套を貰う訳にはいかぬ』
立・樋「 「 (兄貴/先輩 も女性 だろ/でしょう !?) 」 」
怪訝そうな顔の芥川に二人は心の中で突っ込んで色々あったが、すぐに車に乗り込んで任務を果たす為、樋口は車を走らせた。
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……後日談
広「芥川幹部、立原が任務に遅刻したと聞きましたが……お叱りは?」
『怒るつもりなど更々なかったが、知らぬ間に樋口がやっていた』
自身の執務室で資料片手にずずっと珈琲を飲みながら広津の問いに答える。
黒服の多数の目撃情報によるとロビーで正座をさせられた立原が樋口に二時間くらい説教されていたらしい。
広「……私が見つけていなければもっと長かったでしょうね」
『まぁ偶には上司らしくてもいいんじゃないか?』
広「……う〜む………………そうですね」
だいぶ躊躇った広津の返事に芥川の頭の中は、はてなマークだらけだった。
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第百五十三話『ロングヘアノ少女再ビ』→←第百五十一話『目ノ下ノ隈ハ何デスカ!』
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らしろ(プロフ) - 乳酸菌 チーズさん» コメントありがとうございます。やっと続編に続きます。明日には5を公開できると思いますのでお待ちください!ご愛読ありがとうございます。 (2020年3月15日 13時) (レス) id: 2b7c5de986 (このIDを非表示/違反報告)
乳酸菌 チーズ(プロフ) - 頑張ってください〜待ってますのでー! (2020年3月15日 3時) (レス) id: df6c59ac1d (このIDを非表示/違反報告)
らしろ(プロフ) - ぴのさん» コメントありがとうございます。時間に余裕ができれば黒の時代もやりたいなと思っています。ご愛読ありがとうございます! (2019年7月1日 22時) (レス) id: 2b7c5de986 (このIDを非表示/違反報告)
ぴの(プロフ) - いつか黒の時代も見たいです…… (2019年6月30日 22時) (レス) id: 5f84d6c253 (このIDを非表示/違反報告)
らしろ(プロフ) - りんさん» コメントありがとうございます。楽しみにしてくださると嬉しいです。頑張ります! (2019年6月22日 22時) (レス) id: 2b7c5de986 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:らしろ | 作成日時:2019年6月22日 17時