第百五十一話『目ノ下ノ隈ハ何デスカ!』 ページ40
───二十一時……の三分前
『全員揃った……か?』
樋「はい!遊撃隊、全員揃っています!」
『……そうか』
視線を黒服たちに向ける
彼等は顔を強ばらせてこちらを見ている
『……立原は』
樋「……?立原ですか?今夜の任務では黒蜥蜴は同行しない筈では?」
そうか、と呟いて目を伏せる。
やはり急に任務に誘った為、時間の調整ができなかったのだろうか?否、それならば連絡くらいくれる筈だ。
『……時間だ』
そう云い、歩き出す。
外へ出ればクヨクヨしてはいられない。任務に集中しなければならない。
樋「目的の場所まで車で三十分掛かります」
『判っている』
樋「なので少し仮眠をお取りください」
『何を云っている?任務に行く途中で寝ていられる訳が』
樋「芥川先輩、最近眠れてないでしょう?」
じっと目を見られて芥川は目を逸らす。
ダラダラと冷や汗を流す芥川に樋口は更に問いつめる
樋「目の下の隈は何ですか!あと目が潰れそうです!それと声の抑揚が無さ過ぎます!即ち、寝不足であることが推測され……」
『判った、判ったから!寝る!寝るから、いいだろ!?』
すると樋口は満足顔になった。
身の回りの世話もだが、自分の体調にも配慮しているなんて思ってもみなかったと芥川はなんとも云えない顔をする。
樋「では先輩、車へどうぞ」
『……うむ』
溜息を吐いて車に乗り込む。
他の黒服も各々、車に乗り込んだのを見て芥川は運転席に座った樋口に問う。
『……樋口、もう出発をするのか』
樋「……ええ。そうですはっ!もしかして何か忘れ物ですか!?それとも御手洗ですか!?」
『ち、違う!大丈夫だ、少し気になっただけで……』
……決して立原を待っている訳ではない。
『……出発してもいい』
樋「……はい。では、出発します」
いつもと違う芥川の言動に不審に思う樋口だが、敢えて何も聞かずにエンジンを入れる。
芥川は仮眠を取ろうと目を瞑った。
樋「到着五分前には起こしますので、おやすみなさい」
樋口は嬉しそうに微笑んでアクセルをゆっくりと踏んだ時だ。
────突然、車の前に人が現れた。
樋「……っ!?」
樋口はブレーキを踏んで拳銃を手に取る
幸い、芥川は気づかなかったらしくまだ目を瞑っていた。
樋「(一体誰だ……!?)」
目の前にいた人物に驚き、思わず彼の名を呼んだ
樋「たっ、立原!?」
.
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らしろ(プロフ) - 乳酸菌 チーズさん» コメントありがとうございます。やっと続編に続きます。明日には5を公開できると思いますのでお待ちください!ご愛読ありがとうございます。 (2020年3月15日 13時) (レス) id: 2b7c5de986 (このIDを非表示/違反報告)
乳酸菌 チーズ(プロフ) - 頑張ってください〜待ってますのでー! (2020年3月15日 3時) (レス) id: df6c59ac1d (このIDを非表示/違反報告)
らしろ(プロフ) - ぴのさん» コメントありがとうございます。時間に余裕ができれば黒の時代もやりたいなと思っています。ご愛読ありがとうございます! (2019年7月1日 22時) (レス) id: 2b7c5de986 (このIDを非表示/違反報告)
ぴの(プロフ) - いつか黒の時代も見たいです…… (2019年6月30日 22時) (レス) id: 5f84d6c253 (このIDを非表示/違反報告)
らしろ(プロフ) - りんさん» コメントありがとうございます。楽しみにしてくださると嬉しいです。頑張ります! (2019年6月22日 22時) (レス) id: 2b7c5de986 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:らしろ | 作成日時:2019年6月22日 17時