第百四十九話『アタタカイ人』 ページ38
箕浦刑事から探偵社が使用している手榴弾が流通中に盗まれ、それが少女爆殺に遣われた事の裏が取れたという情報が入った。
ポ「乱歩君、身代わりの死体の顔であるが、傷から生活反応が出なかったそうである」
『……ならば小栗は』
乱「……あぁ、彼は一人も殺してない。ドストエフスキーから貰った死体を落としただけ。多分彼は今まで人を殺した事がない。」
ポ「何と……」
人殺しでない奴が人殺しの罪で捕まる……
考え込んでいる芥川達を他所に乱歩は小栗の乗ったパトカーへと駆け出した。
ポ「乱歩君は何をやっているであるか?」
『……さぁ?しかし、乱歩さんは彼が放っておけない筈だ』
小栗が得になる知識か仕事を斡旋しているだろう
お人好しだなと思う反面、流石は乱歩だと思っている自分がいた
『では僕はもう行く』
ポ「えっあっもう行くであるか」
乱「えー!もう少し居てよ〜」
こちらに戻ってきた乱歩は頬を膨らませながら駄々を捏ねる。
ポオは少し驚き、芥川はまたかとでも云うように溜息混じりに笑う
『国木田が放免されるんだろう?迎えに行ってあげたらいいかと』
乱「僕じゃなくて社長が迎えに行く」
『おっ、おぉ。社長自らが……』
謎を解いてくれたのは有難いが自分は仕事がある
そろそろ帰らなければならない
『仕事に戻ります。今日のことはどうか内密に……』
軽く頭を下げてその場を離れる
不服そうな顔の乱歩と手を振って見送ってくれるポオに小さく手を振った芥川は素早く路地裏へと姿を消した。
ポ「……乱歩君」
乱「何?」
ポ「……あの子って」
乱「……そう、“純白の番人”こと芥川A」
ポ「またの名を“漆黒の死神”芥川龍之介……であるか。それにしても彼女は……」
何かを云おうとして口を閉ざしたポオに乱歩は口角を上げて続きを促す
ポ「いやっ、こんな事を云ったらバチが当たりそうである!」
乱「そんなことないって!ほら何!?なんて云いたかったの?」
乱歩に急かされ、ぐっと顔に力が入るが観念したのか息を吐くようにして言葉を零す
ポ「……い」
乱「聞こえないよー!」
ポ「あっ、あたたかい人である!」
乱歩は少し驚きながらもニヤリと笑って嬉しそうに頷いた
乱「君、意外と見る目あるね」
褒められて嬉しかったのかポオは満面の笑みだった。
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らしろ(プロフ) - 乳酸菌 チーズさん» コメントありがとうございます。やっと続編に続きます。明日には5を公開できると思いますのでお待ちください!ご愛読ありがとうございます。 (2020年3月15日 13時) (レス) id: 2b7c5de986 (このIDを非表示/違反報告)
乳酸菌 チーズ(プロフ) - 頑張ってください〜待ってますのでー! (2020年3月15日 3時) (レス) id: df6c59ac1d (このIDを非表示/違反報告)
らしろ(プロフ) - ぴのさん» コメントありがとうございます。時間に余裕ができれば黒の時代もやりたいなと思っています。ご愛読ありがとうございます! (2019年7月1日 22時) (レス) id: 2b7c5de986 (このIDを非表示/違反報告)
ぴの(プロフ) - いつか黒の時代も見たいです…… (2019年6月30日 22時) (レス) id: 5f84d6c253 (このIDを非表示/違反報告)
らしろ(プロフ) - りんさん» コメントありがとうございます。楽しみにしてくださると嬉しいです。頑張ります! (2019年6月22日 22時) (レス) id: 2b7c5de986 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:らしろ | 作成日時:2019年6月22日 17時