第百三十七話『君ハ誰ノモノ』 ページ26
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『……地獄だった』
与「妾の治療じゃ不満かい」
『滅相もございません』
与「しかし、妾でも───その腹の
服を捲ると変な模様が腹に付いていた
きっとゴンチャロフに攻撃された時のだろう
与「体に異常は?」
『最初に全く体が動かなくなったのと鉈で斬り刻まれた以外は問題ない。頗る体調がいい』
与「ならいいけど……」
心配そうな表情の与謝野を宥めていると扉が勢いよく開かれた
太「……Aちゃん!」
『のあっ!?』
与「太宰、芥川が驚いて」
与謝野が云い終わる前に太宰は芥川に抱き着く。
急な出来事に与謝野も芥川も目を丸くする
『……え?なっ……えっ?』
太「……」
与「……太宰?」
『……太宰さん?あの、僕は大丈夫ですから……苦しいです』
だから離せ、という意味で彼の背中を叩くがやめる気配は全くない。何を云っても無駄だなと思い大人しくする。
与謝野は大きな溜息を吐いて部屋から出て行った。
太「君は」
『……はい』
太「誰のものだい?」
『……?』
如何いう意味だ?自分は誰のものでもないが……?
何故そんな質問をするのか判らない。答えられずにいると太宰は縋るような声を芥川の耳元で囁く
太「君は……何があっても私のものだ。絶対に。喩え
……今、なんて云った?所有物?誰が?自分が?誰の?
────フョードル・ドストエフスキーの?
『……ご、ご冗談を。全くもって笑えない』
太「ああ、本当に笑えない。しかしこれが証拠だよ」
ゆっくりと服を捲られてお腹の模様が露わになる。太宰は苦虫を噛み潰したような顔をして項垂れる。
彼はこの模様を知っているのだろうか?与謝野の異能でも消えなかったこれを。
太「……これはね。異能らしいんだ」
『……一体どのような?』
太「……詳しくは判らない。だが、この模様の保有者は一人の人間の云う事しか聞かなくなる奴??隷と化する。」
訳が解らなくて首を傾げる。なんだその異能は。しかし何故、その異能を自分に?
太「まだ判らないのかい?君は彼に気にいられているんだ。君の異能も君自身も」
『……一方的に好意を寄せられていたのは薄々感じていたが真逆、行動に移すとは』
痛みも何も感じないお腹の模様にそっと触れた。
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らしろ(プロフ) - 乳酸菌 チーズさん» コメントありがとうございます。やっと続編に続きます。明日には5を公開できると思いますのでお待ちください!ご愛読ありがとうございます。 (2020年3月15日 13時) (レス) id: 2b7c5de986 (このIDを非表示/違反報告)
乳酸菌 チーズ(プロフ) - 頑張ってください〜待ってますのでー! (2020年3月15日 3時) (レス) id: df6c59ac1d (このIDを非表示/違反報告)
らしろ(プロフ) - ぴのさん» コメントありがとうございます。時間に余裕ができれば黒の時代もやりたいなと思っています。ご愛読ありがとうございます! (2019年7月1日 22時) (レス) id: 2b7c5de986 (このIDを非表示/違反報告)
ぴの(プロフ) - いつか黒の時代も見たいです…… (2019年6月30日 22時) (レス) id: 5f84d6c253 (このIDを非表示/違反報告)
らしろ(プロフ) - りんさん» コメントありがとうございます。楽しみにしてくださると嬉しいです。頑張ります! (2019年6月22日 22時) (レス) id: 2b7c5de986 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:らしろ | 作成日時:2019年6月22日 17時