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第百二十六話『出来ル限リハ』 ページ15

敦「おい、待て芥川!太宰さんが組んで動けと云ってたろ!」



『小声で話せ愚か者。僕は一人で十分だ』



敦「……そ、そうかもしれないけど」





納得するのかとまた一つ苛立ちが増える
自分の中の“芥川龍之介”は人虎()を殺せと煩いが、本心ではもっと仲良くしたいと思う。
然し、原作通りに行きたいと切に願っている自分もいる




『この作戦で太宰さんに僕の優質を証す好機(チャンス)。貴様など……』




潰れてしまえばいいと思うのが芥川龍之介
そうと思わず、協力して進めばいいと思うのが芥川A




『……』



敦「……芥川?」




原作を読んでない自分ではこの先の未来が解らない
どう行動していけば正しいのか。何を云えばこの物語が順調に進むのか。




『人虎、僕はどうあればいい』



敦「…………え?」



『ずっとずっと考えていた。僕は私を信じればいいのか。あの声(・・・)を信じればいいのか』




時たまに聞こえる声。最近は無くなったが、究極に迷ったり、ピンチになったり、精神が病んだりすると聞こえてくるのだ
しかも、これがとても厄介で悪い方へと誘う言葉が多い




『……貴様はどうしている?』



敦「……“どう”って?」



『迷った時、何処に進めば判らない時。先に進むのが恐ろしい時』




芥川の視線が前の通路へと向けらる
何処へ続いているのか判らない、電気はあり先が見えるが、何か罠があるかもしれない道





『単純に“怖い”と思うのは……僕だけか?』




敦は芥川の手首を掴み歩き出す
咄嗟に振り解こうとすると彼の手の力が強まった




敦「……当たり前だと思う」



『……何?』



敦「お前が立ち止まり、迷って進めなくなって“怖い”っていう感情が生まれるのは人間として当たり前だと思うんだ」




過酷な経験をしている敦の言葉はいつも芥川の沈んだ心に響く




敦「ならその時は僕が引っ張ってやる。お前が迷ったら僕が手を引いて。お前が何処に進めば判らない時、一緒に迷って。お前が先に進むのが恐ろしい時、僕がその恐怖を引き裂いてやる」




芥川はその発想にまだまだ自分は未熟者だと身に染みて感じた
この世界の敦は原作より余程しっかり者らしい




『それをお前ができるのか』



敦「……出来る限りは」




急に自信をなくして目を逸らすのは彼らしい
唯、芥川に対してそんなふうに云ってくれる彼はやはり原作とは違い、優しいと改めて感じたのだった


.

第百二十七話『先導セネバ』→←第百二十五話『知ッテイケバイイ』



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らしろ(プロフ) - 乳酸菌 チーズさん» コメントありがとうございます。やっと続編に続きます。明日には5を公開できると思いますのでお待ちください!ご愛読ありがとうございます。 (2020年3月15日 13時) (レス) id: 2b7c5de986 (このIDを非表示/違反報告)
乳酸菌 チーズ(プロフ) - 頑張ってください〜待ってますのでー! (2020年3月15日 3時) (レス) id: df6c59ac1d (このIDを非表示/違反報告)
らしろ(プロフ) - ぴのさん» コメントありがとうございます。時間に余裕ができれば黒の時代もやりたいなと思っています。ご愛読ありがとうございます! (2019年7月1日 22時) (レス) id: 2b7c5de986 (このIDを非表示/違反報告)
ぴの(プロフ) - いつか黒の時代も見たいです…… (2019年6月30日 22時) (レス) id: 5f84d6c253 (このIDを非表示/違反報告)
らしろ(プロフ) - りんさん» コメントありがとうございます。楽しみにしてくださると嬉しいです。頑張ります! (2019年6月22日 22時) (レス) id: 2b7c5de986 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:らしろ | 作成日時:2019年6月22日 17時

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