漆黒の狗は原作と違う為困っているそうです2【文スト】【芥川成り代わり】 (ページ23)

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第六十三話『誰ノ計画ノ内』ページ23

『ゴホッ､ゴホッゴホッ……』

ゆらりと立ち上がりぐるんと後ろを振り向く
異国の者が目を見開き口をあんぐりと開ける

『……悪いな』

羅生門が四方八方に伸びた

***

敦｢潜入しました｣

‹ 太｢中の様子は？｣ ›

一方で敦は白鯨へ足を踏み入れていた
恐る恐る､慎重に進み人がいないことに違和感を覚える

敦｢誰も居ません……妙です｡皆何処に……｣

ガチャっと扉を開ける
その部屋の中には椅子に座る老人がいた

？｢殆どが脱出した｣

敦｢！｣

？｢残った僅かな人員も次の輸送便で白鯨を離れる｡何故か判るか小僧？｣

この老人は確か､白鯨を呼び出した組合の異能力者
しかし何故此処に？

メ｢終わりだからだ､この戦争のな｡次の一撃で組合の敵はすべて灰となる｡この白鯨と共に｣

敦｢灰だって？……まさか｣

メ｢大方手薄な隙を狙ったつもりなのだろう｡だが､この機で組合主力が白鯨を離れる動き……不自然と思わんだか？｣

***

ピリリッと着信が鳴る
画面を確認して通話にする

『……僕だ』

‹ 樋｢何処にいるんですか！？無理をなさらないでくださいとあれ程！｣ ›

『……樋口｡帰ったら話を聞く』

‹ 樋｢……ッ私は､でも……先輩｡必ず帰ってきてください｣ ›

『ああ､勿論だ｡済まん､また後で』

何か云いたそうな樋口だったがそれ以上は何も云わなかった
芥川は懐に携帯を仕舞い､先を急いだ

────プルルルルル

太｢はい｣

‹ 森｢ご機嫌かね太宰君？｣ ›

突然聞こえた森の声に思わず太宰は通信を切ろうと手を伸ばす

‹ 森｢待て､切らないで！？｣ ›

太｢何ですか森さん｡マフィアには探偵社の作戦の邪魔をしないよう協定を結んだ筈ですが｣

‹ 森｢その協定だが､今部下から報告があってねぇ……守れそうもないのだよ｣ ›

太｢……そうですか｣

太宰の口角が微かにあがる
森は目を細め口を開く

‹ 森｢まさかと思うが､君の計画の内かい？｣ ›

太｢“君”の？……いいえ､“彼の子”との計画ですよ｣

***

前方からカンっカンっと足音が聞こえる

芥川はピタリと足を止めて前を見据える

敦は階段の最後の段を登り終え前を見て目を開く

敦｢芥川……｣

『人虎……ッ！』

互いに眉を顰めて拳を握り締めた

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