漆黒の狗は原作と違う為困っているそうです1【文スト】【芥川成り代わり】

第十七話『虎ノストラップ』 ページ18

『はぁぁ……』



鏡｢嫌ならやめればいい｣



『それが出来たら苦労しない､はぁ……』




何度目なのだろうか？
溜息をつき床に座り込む芥川
悲しそうな顔で彼女の背中を摩る鏡花




『時は止まることは無い､即ち､敦が起きる……』



鏡｢本当に彼を組合に渡すの？｣



『……相手には虎のストラップでもあげる予定だ』




懐から手のひらサイズの虎のストラップを取り出す｡白く可愛らしい虎のストラップだ｡
鏡花を迎えに行く際にUFOキャッチャーで取った｡
……サボりじゃない休憩だ




鏡｢可愛い｣



『……だろう？要るか？』



鏡｢いらない｡これを受け取ったら彼の人が組合に渡ってしまう｣



『……そうだな』




しばらく無言で海を見ていた
鏡花も何も云わずに横に座り海を見る



────ガタンッ



不意にコンテナが開く音がした
其方に視線を向けると傷だらけの敦が立っていた




『無様だな人虎､あと起きるのが遅い』



敦｢お前がやったんだろう！鏡花ちゃんから離れろ！｣




覚束無い足取りで此方に歩いてくる
そこまでして鏡花を守りたいのか




『そんな弱っているのに僕に勝てるのか』



敦｢お前は許せない｣



鏡｢やめて｣




凛とした声が響く
鏡花は芥川と敦の間に立ち衝突を防いだ




敦｢鏡花ちゃん！？何をやって……｣



鏡｢絶対に戦っちゃ駄目｣



『退け､鏡花｡人虎が戦う気満々だ｡僕をそれに応えるまで』




羅生門を鏡花の腹に巻き付け遠くへ行かせる




鏡｢Aっ｣



『邪魔はするな……』




そう呟いて敦と向かい､お互いに睨み合う




『悔いはないな』



敦｢それはこっちのセリフだ｣




バンッと水道管が破裂した
それが合図となり二人が一気に駆け出す




『羅生門！』




敦を拘束し振り上げて地面に叩きつける
だが彼は虎の手足で受け身を取り此方へ走ってくる




『目の前の敵だけでない､周りも見ろ』



敦｢は？……ぐ！｣




敦の背後から羅生門を刺す
うつ伏せに倒れた敦の背中に足を置く




『敵は予告無しに襲いかかるぞ｡もっと神経を研ぎ澄ませて挑め』



敦｢何でお前……僕にそんなことを｣



『自惚れるな｡お前が弱い故に指導してやっている､有難く思え』



敦｢巫山戯るな！｣




ギラリと目を光らせ睨み付ける
芥川は涼しい顔で虎のストラップを手に持つ




『これが何か判るか』



敦｢……虎のストラップ？｣



『貴様が勝てたなら


───組合にこれを渡そう』


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