漆黒の狗は原作と違う為困っているそうです1【文スト】【芥川成り代わり】 (ページ13)

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第十二話『当分先ノ未来デ』ページ13

太｢それで？何故､敦君を狙ったのだい？｣

『此奴に懸賞金が掛かっているからだ､七十億もな』

乱れた髪と衣服を整えながら樋口の元へと歩き出す

太｢それは景気のいい話だね｡それで幹部の君が態々出向いたというわけか｣

『全くだ､何故このような優男が狙われるか｡未だに理解に苦しむ』

太｢敦君が優男って何故判るんだい？｣

『……僕は貴方より人を見る目はあるからな』

芥川は樋口の腕を掴み早歩きで此処から出ようとする

太｢教えてくれないかい？｣

『……何だ』

普段よりワントーン低い太宰の声｡思わずピクリと肩が震えた

太｢この任務は本当に森さんから直々に頼まれたものなのかい？｣

ピタリと足を止めて太宰の方を振り向く

『……何が云いたい』

太｢七十億……高額だし､貴重な任務かもしれない｡しかし､内容は“虎の少年を捕らえる”だ｡幹部である君が頼まれる仕事ではないと思うのだけど｣

『僕がこの任務を懇願したと？』

太｢そう｡で？どうなんだい｣

本当にこの男の推理力が凄い
可笑しくてふふっと笑う芥川

『……唯､七十億もかけられた虎がどのようなものなのか見たかっただけですよ？それに僕は遊撃隊隊長､頼まれても可笑しくはない｡
それよりいいのですか？お仲間が瀕死ですけれど｡早く与謝野女医に診せないといけませんよ』

では､と云ってその場から離れた

樋｢芥川先輩……そのいいのですか｣

『……何がだ』

樋｢人虎と……あの包帯男､太宰治を成敗すると云ったじゃないですか｣

『ああ､成敗するのは今ではない……当分先のことだ』

黒い車に乗り込み､運転席に樋口
助手席にAが乗る

因みに毎回､運転は樋口がしてくれる｡黒服に頼めばいいのだが
｢私は芥川先輩の運転手になる為に生まれてきたんです！｣
と云われたからそれなら仕方が無いと思った

『報告書を早く作って首領に提出して､お茶でもするか』

樋｢はい！喜んで！｣

嬉しそうな樋口を見て芥川も自然と笑顔になった
その後､樋口と仲良く女子会をしたのであった

***

太｢“与謝野女医に診せないといけない”か｡何故彼女は与謝野女医の事を知っているんだろうか｣

妖しく笑う太宰
そして顎に手を添える

太｢相変わらず男装しているのか……まぁ､男が寄り付かないのはとても善いことだが｣

チラリと敦を見て近付き
ペちペちと頬を叩いた

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