第二十九話『連レ戻ス許可』 ページ30
───翌朝
「A!Aは何処じゃ!?」
廊下から騒がしい声が聞こえる
醒めない頭を動かしながら目を擦る
『……資料に目を通していたら寝てしまったか』
欠伸をしていると執務室の扉が開かれた
見ると尾崎紅葉が真面目な顔で立っていた
『姐さん?如何され……』
紅「怪我の心配しに来たのじゃ!あとは……鏡花の事で少し」
口元を隠しながら、不安そうな顔の姐さんに居た堪れない気持ちになる
『僕はこの通り大丈夫です。毎日心配して下さり有難うございます』
紅「当たり前じゃ。お主は身体が弱いからあまり無理はさせたくなかった」
ゆっくりと此方に近づき芥川の頭を撫でる
『(僕はこの人から鏡花を離してしまった……)』
紅葉を見ることが出来ずに俯いてしまう
鏡花が居なくなったあの日から彼女は悲しい顔を見せるようになり、芥川が謝っても無理して笑っていたのだ
紅「実はのう、鷗外殿から鏡花を連れて帰っても善いと
許可が出たのじゃ」
『許可……?』
紅「そうじゃ、そしてあの人虎の始末も頼まれた」
『そ、そう……』
紅「……如何した、A?憎き人虎の始末じゃぞ?もっと喜べ」
コロコロと笑う紅葉に芥川は苦笑いをするだけ。
芥川は複雑だった。決して人虎が悪い訳では……だが、何て云えばいいか判らない
『喜びたいのですが矢張り、僕が人虎をこの手で始末したいので』
紅「成程のう。では、一緒に行くかえ?」
『んえ?』
今年一番の間抜けな声を出してしまったかもしれない
芥川の顔はポカンとしてじっと紅葉を見ていた
紅「鏡花はAに懐いていたからのう。お主が来れば素直に戻って来るじゃろう」
『あの……』
紅「そこに人虎が居れば一石二鳥じゃ。私が鏡花を連れ戻し、Aが人虎を始末する。いい案じゃと思わぬかえ?」
『しかし僕は怪我をしてる故、姐さんの足で纏いになるかと……』
紅「心配は要らぬ、その時は私が守ってやろうぞ」
ニコニコと笑う紅葉が悪魔に見えた瞬間だった
━━━━
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━
『姐さん、僕に構わず先に行ってください。この速さで歩いていると鏡花の元へ行けませんよ』
紅「大丈夫じゃ、ほれ見えたぞ?人虎と鏡花じゃ」
『あ、本当だ』
松葉杖をつきながらゆっくりと近付く
原作が壊れていくのを感じながら、二人の後ろ姿を見つめた
紅「始めるかのう……」
携帯の釦をゆっくりと押した
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らむしろっぷ(プロフ) - りんさん» いいですね!私は忙しくてその日に食べれなかったです……(;_;) (2018年6月27日 14時) (レス) id: 8b3e2d1361 (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - 太斎さんの誕生日ケーキ食べましたよ(*´∇`*) (2018年6月25日 23時) (レス) id: 5016550d2e (このIDを非表示/違反報告)
らむしろっぷ(プロフ) - りんさん» 私の一番の推しは太宰さんです!カッコイイですよね!! (2018年6月25日 23時) (レス) id: 8b3e2d1361 (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - 太斎さんもいいですよね (2018年6月23日 23時) (レス) id: 5016550d2e (このIDを非表示/違反報告)
らむしろっぷ(プロフ) - りんさん» 次巻に期待しましょう!それまで信じましょう(;_;) (2018年6月23日 23時) (レス) id: 8b3e2d1361 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:らむしろっぷ | 作成日時:2018年5月19日 20時