第二十二話『向イテイナイ職業』 ページ23
無機質な機械音が部屋に響き渡る
目の前には包帯を巻いた上司が寝ていた
樋「芥川先輩……」
―――
──「先輩っ、芥川先輩!一人で攻めるなど危険です!」
──「……そうだな」
──「何故警備員が詰める奥社に正面から一人で!?」
──「五月蝿いぞ」
──「……ッ、援護も指示もなく正面から乗り込むのは……」
──「五月蝿いと云っているのが判らぬか」
───ドゴォォォン!
──「ビルが爆破!?……先輩、私の後ろに隠れて下さい!」
──「……もう失いたくないのだ」
──「え?」
──「……僕の所為で彼の人が死んでしまった」
──「芥川先輩?」
──「扶けなど要らぬ、僕は一人で十分だ」
―――
樋「(あの時、芥川先輩が云っていた“彼の人”とは?)」
ぐじゃぐじゃで整理のつかない頭で
自分の家へと戻る
樋「……只今」
バッグを離して蹲る
“君は自分がこの仕事に向いていると思ったことは有るかね?”
樋「そんなの……有る訳ないでしょ……」
胸が押し潰れそうで気を抜いたら涙が出そうで
暫く動けなかった
━━━━
━━
━
樋口は夜の横浜の街を走る
樋「はぁ……はぁ……っ!」
芥川が傭兵に攫われてしまったのだ
“アンタ一人如きで何が出来るんだ”
樋「(判っていた、私がこの仕事に向いていないことも、部下が私に敬意を払っていないことも)」
前例もある何度も考えた事だ。それでも私がそうしなかったのは───
芥川の居る倉庫へ着いて震える手で銃を握る
私がやらなくては私が先輩を……
意を決して手榴弾を中へ投げる
────ドォン!
乱射しながら真っ直ぐに突っ込む
だがあまりの弾の多さに柱に隠れる
やはり重装備の傭兵に一人で向かうのは危険だ
“扶けなど要らぬ、僕は一人で十分だ”
樋「(確かに私は不必要だ……)」
隙を見て一人を撃つ
当たったと喜んだのも束の間
隣に居た傭兵の撃った弾丸が樋口の右足に命中した
樋「あ“う“っ!」
急いで柱の陰に隠れた
弾が抜けていたもののこの傷では後がもたない
“お前は強い、自分を信じて僕について来い”
あの時の言葉を思い出す
樋「うっぁぁああああ!」
無我夢中で銃を乱射する
……が、相手に拳銃を落とされてしまった
諦めかけたその時だった
───バンッ!
.
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らむしろっぷ(プロフ) - りんさん» いいですね!私は忙しくてその日に食べれなかったです……(;_;) (2018年6月27日 14時) (レス) id: 8b3e2d1361 (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - 太斎さんの誕生日ケーキ食べましたよ(*´∇`*) (2018年6月25日 23時) (レス) id: 5016550d2e (このIDを非表示/違反報告)
らむしろっぷ(プロフ) - りんさん» 私の一番の推しは太宰さんです!カッコイイですよね!! (2018年6月25日 23時) (レス) id: 8b3e2d1361 (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - 太斎さんもいいですよね (2018年6月23日 23時) (レス) id: 5016550d2e (このIDを非表示/違反報告)
らむしろっぷ(プロフ) - りんさん» 次巻に期待しましょう!それまで信じましょう(;_;) (2018年6月23日 23時) (レス) id: 8b3e2d1361 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:らむしろっぷ | 作成日時:2018年5月19日 20時