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か、彼は、今、なんて言ったの?
い、一緒に弾こう……だって?
いやまさか。
そんな訳、無い。
ロクにピアノも弾けないヤツに、自分は上手いのに、下手なヤツを誘うって……。
「……あのね!一松君だっけ!?そんな誘い、私なんかにしちゃダメだよ?」
一松君に向かって、グイグイ歩み寄って言う。
「……な、なんで」
動揺しながらも、一松君は私の目線から逸らさなかった。
「いや、私下手だから!!一松君は上手いよ?でもさ……そこに私が加わったら…折角の綺麗な一松君の演奏が台無しになっちゃうでしょ?」
ね?
と、念を押すように尋ねると、一松君は首を横に振った。
そして、私の肩に手を置いて、そっと押し返してくる。
きっと一松君は軽く押したつもりなんだろうけど、私にはふらつく位強かった。
「……ううん。俺はあんたじゃないと……その、嫌かもしれなくて……さ」
「?」
「た、たしかに、音楽は技術的な面は必要不可欠だけど……!俺は楽しく弾きたいし…やっぱり、楽器に対する気持ちとか、大切だから……」
マスクをあげて、一松君は下を向きながら言った。
「それに……」
床が橙色に染まっている。今日は夕日が見られる日かぁ____
「____あんたの、ピアノを引いてる時の顔、可愛かった…から……っ!」
「…ほぇ」
一瞬、目がくらんで、橙色が青色に見えた。
だって、一松君、爆弾落としたから。
こんな私に可愛いとか……もう。
「一松君……!なんか、ありがとう……!」
「どーいたしまして……?」
「でも、褒めたってなんにも出ないからね。一緒に弾いてもあげないよーだ」
べー、と嫌味らしく舌を突き出すと、今度こそ鞄を肩にかける。
「それじゃ」
また明日も来るよ、ピアノよ。
心にそう呟いて、音楽室のドアに手をかける。
しかし、視界に白くて細いものが映った。
「い、一松君……?」
「ま、待って……帰らないで……!」
そう言って私の手首を掴む一松君の顔は、やけに必死そうに見えた。
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ごんべ(プロフ) - 花火さん» 花火さん初めまして〜!読んで下さってありがとうございます!泣ですよねですよね!えっ、そうなんですか!?凄いですね……!私弾いてないのに勝手に書いてて申し訳ないです……汗ありがとうございます!亀更新ですが頑張りたいと思います!*_ _) (2016年12月5日 19時) (レス) id: 7d3e751bee (このIDを非表示/違反報告)
花火 - ごんべさん、はじめまして。花火です。12月から失礼します!(笑)良いですよね、バイオリン。私も弾いてるんですよね!出来ない気持ちも分かります!更新楽しみにしてます!ファイトです。 (2016年12月3日 18時) (レス) id: f43920cb39 (このIDを非表示/違反報告)
ごんべ(プロフ) - 甘茶さん» 読んで下さってありがとうございます!わわ、勿体なきお言葉っ!最近忙しくて覗く位しか出来ないんです泣明日に更新出来たらなー、と思ってるので待ってて下さい! (2016年11月7日 23時) (レス) id: 7d3e751bee (このIDを非表示/違反報告)
甘茶 - お話読ませてもらいました!とても続きが気になります!これからも更新頑張ってください! (2016年11月7日 0時) (レス) id: a5c2528784 (このIDを非表示/違反報告)
ごんべ(プロフ) - ネコ鈴さん» 大丈夫ですかっ!?wwありがとうございます!励みになります〜 (2016年11月6日 17時) (レス) id: 7d3e751bee (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ごんべ | 作成日時:2016年10月21日 22時