seventeen* ページ20
_________何だ、これ。
僕の心境は、その一言に尽きた。ピアノやバイオリンの知識など皆無だが、
一応フルートの演奏者である僕は、他の人達より音楽について分かると思う。
そんな僕の感想。
『酷すぎる』
もう、はちゃめちゃだった。とにかく、二人の調子が合っていない。
一松兄さんは安定しているけど、Aちゃん……。
焦ってるのかな、ピアノのテンポが早い。そのせいで、
一松兄さんがそれに合わせようとしてまたテンポがズレてく。
まだ曲は始まって一分も経っていないのに、僕はこれ以上聴く気にはなれなかった。
ほら、十四松兄さんも顔をしかめてる。十四松兄さんは歌が上手いから、分かるんだろう。
___このままじゃ、劇は台無しになる。
一年生なのに主役を貰えたカラ松兄さんの、折角の晴れ舞台。
それが、この二人の演奏のせいで、最悪になる。
兄弟である僕は、そんなの許せなかった。
相変わらずテンポが早いAちゃん。途中音符も間違えたり、抜けたりしてる。
恐らく、ロクに練習もしてなかったんだろうなぁ。
これじゃ、バイオリンじゃなくてピアノが目立っちゃうよ。別の意味で。
僕は決して悪態をついているわけでは無い。ただ、本音を言ってるだけだから。
……本人に伝えたら悲しむだろうけど…………。
これが、ドライモンスターなんて言われる理由なのかと思った。
それからしばらく聴いていた。
跳ねる所が素敵なピアノは、すっかり切れていて、何が何だか分からない。
一松兄さんは最早Aちゃんの伴奏が耳に入っていないのか、目を閉じて弾いていた。
ああ、やっぱり凄い。流石、全国に行った兄は違う。
いや、そもそも一松兄さんと一緒に弾け、というのが間違いなのかもしれない。
……一松兄さんの方から誘ったらしいが。
「……あー」
埒が明かない、と思った僕は遂に手を出してしまった。
フルートを手に取る。そして、ピアノの音符を吹き始めた。
僕の調子に合わせて?
奏でながら、Aちゃんの方に近付いていく。出来るだけ、これが聴こえるように。
Aちゃんは集中していて、こちらに見向きもしなかったが、
僕の音は聴こえていたようだ。
少しずつ、テンポがゆっくりになっていく。
一松兄さんを見やると、確かに、口を動かしていた。
『ありがとう』
だってさ。
いやいや。一松兄さんには敵わないから。
ほっと、僕は溜息を吐いた。
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ごんべ(プロフ) - 花火さん» 花火さん初めまして〜!読んで下さってありがとうございます!泣ですよねですよね!えっ、そうなんですか!?凄いですね……!私弾いてないのに勝手に書いてて申し訳ないです……汗ありがとうございます!亀更新ですが頑張りたいと思います!*_ _) (2016年12月5日 19時) (レス) id: 7d3e751bee (このIDを非表示/違反報告)
花火 - ごんべさん、はじめまして。花火です。12月から失礼します!(笑)良いですよね、バイオリン。私も弾いてるんですよね!出来ない気持ちも分かります!更新楽しみにしてます!ファイトです。 (2016年12月3日 18時) (レス) id: f43920cb39 (このIDを非表示/違反報告)
ごんべ(プロフ) - 甘茶さん» 読んで下さってありがとうございます!わわ、勿体なきお言葉っ!最近忙しくて覗く位しか出来ないんです泣明日に更新出来たらなー、と思ってるので待ってて下さい! (2016年11月7日 23時) (レス) id: 7d3e751bee (このIDを非表示/違反報告)
甘茶 - お話読ませてもらいました!とても続きが気になります!これからも更新頑張ってください! (2016年11月7日 0時) (レス) id: a5c2528784 (このIDを非表示/違反報告)
ごんべ(プロフ) - ネコ鈴さん» 大丈夫ですかっ!?wwありがとうございます!励みになります〜 (2016年11月6日 17時) (レス) id: 7d3e751bee (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ごんべ | 作成日時:2016年10月21日 22時