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sixteen* ページ19

「……ホントに、来たんだ」


一松君の口から、そんな言葉が飛び出した。


「まさか、来ると思ってなかったの?わざわざ、十四松君も呼んでくれたのに」


それと、おそ松君も。もしかしたら、ダンスの誘いなんていうのは口実で、

ホントはこれが目的だったのではないかと思った。


「……うん、そうだね。十四松、ありがと」


「あいあい!!俺も、一松兄さんとAちゃんの演奏聴きたかったし!」


十四松君……そんなことを平然と言ってのけるとは、モテるな。


「僕も二人の演奏聴いてみたいなあ、って思ってたんだよね〜!

カラ松兄さんの劇の音楽やるんでしょ?一回、合わせてみたら?僕と十四松兄さんが聴くよ」


「……え」


「と、トド松君……そんなの」


無理。


と、言おうとしたが、そんな弱音を吐くようでは伴奏者は務まらない。


実質、きっと私の伴奏をしっかりと聞いてくれそうなのは、一松君だけだが。


皆一松君のバイオリンに夢中になるだろうと予想はしている。


悲しいような気もしたが、私はまだまだ未熟者だから、仕方が無い。


「えっと……A。俺が弾きたいと思ってるのは、ヴァイオリンソナタの第五番、『春』」


「春……」


そういえば、ヴァイオリンソナタには色々な種類があった。


一松君と初めて出会った時も、一松君はその、春を弾いていた。


春は長調。つまり、明るい曲なのだ。


あまり一松君に明るいと言うイメージは無いが、バイオリンを弾いている時だけ、

ホントのホントに、春という曲に合っている。


「いいかな、A」


「良いよ、弾けるか……分かんないけど」


練習なんて、全くしてない。音符だって分かるかどうかの狭間だ。


「あ、劇のエンディングとしてやるらしいから、三分から五分くらいらしいし……

あまり、焦らなくていいから」


「わ、分かった」


ごくりと生唾を飲み込む。


見ると、十四松君とトド松君は音楽室の席に座って、こちらを真剣に見ていた。


変に冷や汗をかいてしまう。


一松君と目線を合わせて、頷き合うと、私はピアノの椅子に座った。


バイオリンの準備は、もう出来ているみたいだ。


「……ふぅ」


一度、息を吐く。本番でも無いのに、私にとっての初めての観客がいることで緊張していた。


ちゃんと聞いてくれるらしい、十四松君とトド松君が、良いよ、と合図を送ってくる。


「__せーの、」









音楽室にピアノとバイオリンの音色が響き渡った。

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ごんべ(プロフ) - 花火さん» 花火さん初めまして〜!読んで下さってありがとうございます!泣ですよねですよね!えっ、そうなんですか!?凄いですね……!私弾いてないのに勝手に書いてて申し訳ないです……汗ありがとうございます!亀更新ですが頑張りたいと思います!*_ _) (2016年12月5日 19時) (レス) id: 7d3e751bee (このIDを非表示/違反報告)
花火 - ごんべさん、はじめまして。花火です。12月から失礼します!(笑)良いですよね、バイオリン。私も弾いてるんですよね!出来ない気持ちも分かります!更新楽しみにしてます!ファイトです。 (2016年12月3日 18時) (レス) id: f43920cb39 (このIDを非表示/違反報告)
ごんべ(プロフ) - 甘茶さん» 読んで下さってありがとうございます!わわ、勿体なきお言葉っ!最近忙しくて覗く位しか出来ないんです泣明日に更新出来たらなー、と思ってるので待ってて下さい! (2016年11月7日 23時) (レス) id: 7d3e751bee (このIDを非表示/違反報告)
甘茶 - お話読ませてもらいました!とても続きが気になります!これからも更新頑張ってください! (2016年11月7日 0時) (レス) id: a5c2528784 (このIDを非表示/違反報告)
ごんべ(プロフ) - ネコ鈴さん» 大丈夫ですかっ!?wwありがとうございます!励みになります〜 (2016年11月6日 17時) (レス) id: 7d3e751bee (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ごんべ | 作成日時:2016年10月21日 22時

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