放 課 後 、 音 楽 室 に て 。【一松】

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｢いやー、それにしても、今日は沢山の松野君に会ったなあー｣


家に着いてから、自分の部屋でそう言い放った。

ちなみに、今日は塾はおやすみ。


カラ松君は同じクラスだったから知っていたけど、

今日会ったチョロ松君、一松君、トド松君は知らなかったな。


いや、もしかしたら何回かすれ違ってたかもだけど、顔似てるから気付くわけない。


えっと……後は二人に会ってないのか。


今後、会えたら良いなー。


どんな性格何だろう。


私は気になってしまって、中々寝付けなかった。


｢……ピアノ、弾こ｣


こうなったら、ピアノ弾くしかないね！


いつか眠くなるでしょ。


そろそろと下に下りて、ピアノに触れた。


｢……一松君｣


そうだ、ヴァイオリンソナタ、練習しないと。


一緒に成功させるって約束したんだから。


あの上手い一松君に追い付かないと。


椅子に座ると、そーっと鍵盤を押し始めた。


弾きながら、考える。


ピアノは難しい。だって、両手で違う動きをしなくてはならないから。


それに、強調させたい所は自分の気持ちを込めるように、強く押さなくてはならない。


音間違いは伴奏者にとっては酷く、痛手だ。


あぁ、でもね、私の伴奏を聞いてくれる人なんて……いないんだけどさ。


親もピアノを買ってくれただけで、後は塾とか、勉強だとか。


友達もピアノに興味は無いみたいだし。



ピアニストになりたいのに。


ダーンッ！！


｢……こんなんじゃ、なれるわけないよ…！｣


ヴァイオリンソナタさえ弾けないなんて。


私は、一松君の足を引っ張るだけだ。

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