毒林檎のつくりかた 8 (Daiki＆Ryosuke)

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大貴「…よっ。」








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次の日から一ヶ月、大貴はちょくちょく私に会いに来た。

家にだったり、病院にだったり。









そしてこの日に会ったのは、定期検診終わり。

迎えに来る先輩を待ってるときだった。








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「なんで…」

大貴「就活帰り…たまたまだから。」








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確かに大貴の言う通り、ちゃんとリクルートスーツだし

いつもはふわふわしてた髪も今日はストレート。










目を見開く私に、大貴はいつものように

あの林檎味のキャンディを私の手に乗せた。








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大貴「ごめん…」










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その“ごめん”は、多分色んな意味があって

たくさん伝えたいであろう“ごめん”…









大貴は黙って私の傍らに立つと、

こちらに視線を向けず、ふいに口を開いた。









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大貴「…山田、心配してた。」

「…っ、そうですか。」








大貴「言ってないの?」

「はい。」








大貴「…そっか。」








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涼介の話題が出るだけで、ヒリヒリと胸が痛くなる。










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もう涼介と会うことは許されないし

もう二度と涼介を悲しませたくない。








私は無意識に唇を噛んで。










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大貴の目を盗み見ると、悲しい色を浮かべていた。

そこから読み取れるのは、“罪悪感”…








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大貴だけのせいじゃないから。

私のせいでもあるから。











伝えたくても、言葉にするのは許されなくて

私は、大貴にもらったキャンディを口に放り込む。








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「…今日は八乙女先輩が来てくれます。」

大貴「そっか。」









「大貴…先輩も帰っていただいて大丈夫ですから。」

大貴「うん…ヒカが来たら帰るよ。」









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コロコロと口の中で飴玉を転がす。








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ただ普通に交わす会話が懐かしくて、

でも、それが嬉しいとは思えない。









大貴への“好き”はもう消えていた。

消えていたのに…









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