05 ページ5
．
「これで多少はマシな筈。お前、泣かなくて偉いな」
いい子いい子、と妹達にするのと同じように、少女のことも褒める三ツ谷。表情を変えず無言でそれを受け入れている少女は、見れば見るほど人形……容姿も相まって、フランス人形そっくりだ。
ここまで無口な子どもは初めてな為、普段から幼児と関わっている三ツ谷ですら扱いに戸惑う。
このまま何かしら話しかけて構ってあげるべきなのか、寧ろそっとしておいてあげるべきなのか。しかしマイキーにくっついていた様子を見ると、一人が好きという訳でもないのだろう。尚更掴めない。
そんな様子を遠目に眺めていた黒髪ロングの男は、突然少女の隣でヤンキー座りをすると、未だに睨み合っている総長の名前を叫んだ。
「おいマイキー、こいつ全然喋んねーワ。喋るスイッチどこにあんだよ」
「場地、そいつは人形じゃねぇよ……」
「あぁ？じゃあなんでこいつ喋んねーんだよ、可笑しくね？」
「可笑しいのはお前なんだわ」
自分を思ってくれてのこととは言え、何をとち狂ったことを言っているんだろうコイツ、とか考えている三ツ谷。
まぁ勿論、ドラケン同様、他の人間よりも気遣いというものが出来る彼は決して口にはしないが。馬鹿正直に胸の内を口にしなかったのだから、ツッコミを入れてしまったくらいは許してほしい。
場地の言葉に、「そうなんだよねー」と言った万次郎が、ドラケンの前からスタスタとやってくる。
目の前から居なくなった総長に「おいまだ話終わってねーぞ」と苛立ちを滲ませるドラケンだが、万次郎からすれば知ったこっちゃない。
「なぁオマエ、名前なんて言うの？」
「……」
「喋んねぇとオレ分かんないんだけど、超能力無いし」
石段に腰掛けた少女の前でしゃがみ込み、言い方はあれでも、優しく問いかける万次郎。近くで見ると、ちゃんと少女が喋ろうとしている様子が確認できた。しかし肝心の声は聞こえてこない。
痺れを切らした場地が「さっさと喋れよ！喋んねーと伝わんねーだろ？！」とキレ始めたところで、「お前はちょっと黙ってろ」と三ツ谷に回収されていく。
気を取り直して。
暫く何かを言いたげに口をハクハクとさせていた少女だが、やがて地面に手をついてよたよたと立ち上がると、そのまま林の方へと歩いて行ってしまった。
追いかけようとした万次郎をドラケンが止める。「先に集会だ」と言われ、腑に落ちないながらも、自分から去っていった少女を追いかける義理もなかった彼は、大人しく彼の言うことに従った。
．
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2702人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「東京リベンジャーズ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
レモン - サイコーすぎんだろ‼️ 応援してます😆 (2022年7月2日 13時) (
レス) @page50 id: 97f09e59d6 (このIDを非表示/違反報告)
無塩バター(プロフ) - ぺたごんさん» ありがとうございます！今日中に続編に移行するつもりなので、続編もよろしくお願いします！ (2021年11月13日 8時) (レス) id: aad7259adc (このIDを非表示/違反報告)
ぺたごん - すごくすき愛した だぁじに悶えてます 続編待ってます！ (2021年11月13日 1時) (レス) @page50 id: 660f048392 (このIDを非表示/違反報告)
無塩バター(プロフ) - ただのバカですさん» そうです三ツ谷くんです（笑）多分本文でも書くと思うんですけど、みつや→みつゃ→みちゃ 的な流れから、みちゃになりました。続きものんびり頑張ります！ (2021年10月23日 0時) (レス) id: aad7259adc (このIDを非表示/違反報告)
ただのバカです - みちゃ？あっ、三ツ谷くんの事ね。え！？可愛くねぇ？みちゃだよ？胸取れるわ。ムフフ続き楽しみに待ってます。 (2021年10月21日 7時) (レス) @page45 id: acf5fa610c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
