【名探偵コナン】重なる未来４ (ページ31)

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その173 ページ31

公安、県警の仕事に加え羽田浩司の事件を調べている私は、降谷さんのトリプルフェイス並みに忙しい。

今夜も家で公安の資料を確認しながら日を越した。でもこれはわざと。日付けが変わる瞬間に起きておきたかった。

だって今日は、ヒロの誕生日だから。

秀吉に似て記憶力が人より少し優れている私は、誕生日を覚えることなんて朝飯前。ましてやヒロの誕生日なんて忘れるはずがない。

もしヒロが生きていたら一緒に29歳の誕生日をお祝いできたのに、実際のヒロは4年前で時が止まっている。

私はもうヒロが生きた歳を越してしまった。これは萩原さんの時も同じで、毎年自分の誕生日がくるたびに萩原さんたちより長く生きてしまっていることを考えて悲しくなる。

パソコンの画面が涙でにじんできた。ヒロにもう一度会いたい。29歳のヒロに会って、誕生日おめでとうと伝えたい。

『今日帰ったら、ごちそう作ってスコッチ飲むね、ヒロ…』

あまり泣きすぎるとまた目が腫れてしまうから、パソコンを閉じて眠りについた。

今夜はごちそうを作ると天国のヒロと約束したから早く帰りたかったのに、なぜか今日に限って捜査会議が長引いてしまった。

会議後、一目散に部屋を出て駐車場に急いで行こうとすると、諸伏警部に呼び止められた。

諸「Aさん、少しいいですか？」

『すみません。今日は早く帰らないといけないので、お先に失礼します。』

冷たい態度で返答して歩きだそうとすると腕をつかまれた。ジンにもつかまれたのを思い出してしまう。

諸「もう、逃がしませんよ。」

『え…？』

諸「来てください。」

『えっ、ちょっと、どこにですか？』

諸伏警部は私の腕をつかんだまま歩きだし、引っ張られた私は諸伏警部について行くしかなかった。

何も言わず無言で歩く諸伏警部が怖い。最近ずっと避けてるからついに怒ったのかな。それかまさか答えが見つかった⁉

始めは強く引っ張られたけど、だんだん歩幅を合わせてくれるあたり優しさを感じる。

連れてこられた先は県警本部の屋上。月明かりに照らされた屋上からはきれいな夜景が見える。

諸「ここなら誰にも邪魔されることはありません。」

『え、邪魔？』

諸「私とAさんの大切な時間を妨害されたくありませんので。」

諸伏警部は手を放してくれた。

諸「Aさんにここに来てもらったのは、答え合わせのためですよ。」

『答え合わせってまさか…！』

諸「ええ。Aさんが私と付き合えない理由ですよ。」