その174 ページ32
『本当に理由がわかったんですか⁉』
諸「はい。Aさんが私と付き合えないのは、私が景光に似ているからですね?」
『…それだけだったら60点ですよ。ヒロと似ているからという理由だけで、私が断ると思いますか?ちなみに合格点は満点です。』
諸「もちろん、まだ続きはあります。私と景光の似ている点は主に目。なぜ目が似ていると付き合えないかというと、私の目を見ると景光のことを思い出すから。」
そう、ヒロと諸伏警部は兄弟だからやっぱり顔が似ている。その中でも特に目が同じで、私はその優しい目が大好きだった。
諸「Aさんは私を見るたびに景光を思い出し、景光の面影を追いかけている。つまり、Aさんが愛しているのは私ではなく、私から感じられる景光の面影ですね。」
『…まだ、80点ですよ…』
諸「景光と似ている私といることで、いつでも景光を感じられる。ですが優しいAさんのことですから、私に景光を重ね合わせることで私を傷つけてしまうと思っているんでしょう。」
ここまではほとんど合っている。私はヒロの面影を探しているうちに諸伏警部に惹かれた。言わば、諸伏警部とヒロを重ねてしまっている。
諸「Aさんが見ているのは私の中の景光。私のことは上辺でしか見ていないことに負い目を感じ、それによってAさん自身も苦しむことになる。その証拠に、Aさんは私とは目を合わせて話してくれませんからね。」
私が諸伏警部と目を合わさないようにしていることに気付かれていた。
諸伏警部と目が合うとどうしてもヒロに見えてしまうから絶対に目は合わさないし、偶然目が合ってもすぐにそらしていた。
最後に目が合ったのは病院で私の話を聞いてくれた時。あの時私が号泣したのは、諸伏警部の瞳がヒロと同じで、ヒロの面影を見つけてしまったから。
諸「結論を言うと、ただ景光に似ているだけの私と付き合うことで私を傷つけてしまうという罪悪感、そしてその罪悪感によって自分自身も苦しめてしまう。これが理由ですね?」
『…そうです。まさかこんなに早く見つけてくれるなんて思っていませんでした。』
諸「必ず見つけると言いましたのでね。」
『どうやって見つけたんですか?ヒントも何も与えてないし、上原さんや大和警部にも言ってないのに。』
諸「ヒントならもらっていますよ。初めに私が理由を聞いた時、Aさんは半分正解で半分間違いだと答えました。」(←112話です)
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作者名:おひたし | 作成日時:2019年6月16日 20時