その172 ページ30
敢「でも最近はコウメイのこと避けてるだろ。お前がそんなことするからコウメイが嫉妬すんだよ。」
私とあの取り引きをした時はけっこうやる気あったように見えたけど、そんなに落ち込んでたなんて知らなかった。
敢「あいつはこどもの頃に両親を亡くして弟とは離ればなれ、おまけに初恋の人も亡くして挙げ句の果てに唯一の肉親だった弟とも死別。ずっと一人なんだよあいつは。だからお前がそばにいてやれよ。」
『諸伏警部の変化に気付けるくらいなら、大和警部がそばにいてあげたらいいんじゃないですか?』
敢「そういう意味じゃねぇよ。あいつを幸せにしてやれるのはお前だけなんだよ。だから、お前がコウメイの家族になってやれ。じゃねぇと諸伏家は断絶するぞ。」
『…わかってますよ。でも、諸伏警部が答えを見つけてくれない限り、私にはどうすることもできません。』
敢「だからそんなもんほっといて」
『これは大事なことなんです。他人が口挟まないでください。』
空き缶を捨てて大和警部を一人残してその場を去った。
最近の私の冷たい態度にも悲しんでたなんて知らなかったし、もう大和警部の言う通り答え見つけるとか無しにして付き合っちゃおうかな。
いやそういうわけにはいかない。何事も初志貫徹、一度決めたことは最後までやり通さないと。それに組織のこともあるし。
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敢「ったく、頑固にも程があんだろ。なぁコウメイ、そこで聞いてんだろ?」
諸「そういう頑固なところもAさんの魅力の一つですけどね。」
敢「立ち聞きなんてしてんじゃねぇよ。羽田は気付いてないみたいだったけどな。」
諸「Aさんの声が聞こえたので来てみたら、敢助君が私の陰口を言っていて出るに出れなかったんですよ。」
敢「陰口なんて言ってねぇよ。俺はただ羽田に文句言っただけだ。」
諸「本当の目的は、Aさんが自分から私に答えを言うようにするためでしょう。」
敢「ああそうだ。これ以上お前らの揉め事に巻き込まれるのはごめんだからな。」
諸「まったく、余計なことを。君の助けがなくても、私一人で何とかできますよ。」
敢「なんだよ、せっかく手伝ってやろうと思ったのによぉ。」
諸「それが余計なんですよ。」
敢「ああわかったよ。じゃあ俺はお前らがどうなろうと知ったこっちゃねぇからな!」
諸「(答えはすでに掌中にある、敢助君の助けは必要ありませんよ。)」
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作者名:おひたし | 作成日時:2019年6月16日 20時