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其の肆 ページ11

「あの。そもそもこの話し合いに意味あるんですか?Aはもうこの時代に十分適応しています。帰る必要などないでしょう。Aや八左ヱ門の前でAの死について語るのはよして下さいよ」


私の左隣の三郎が言った。確かに帰るつもりはない。けれど人生二巡目、三巡目になった時の為に皆の上手くまとめてくれた推論を聞いておきたいという気持ちに変わっていた。


「帰る必要があるかどうかはA本人が決めることだ。なければないで構わない」


「万が一Aが帰りたいと思っていたとしても、人はそんな簡単に死ねないだろう。失敗して数日ほど未来に飛ばされるくらいならまだ良いが、数十年後の我々が居なくなった時代であったならどうする?誰がAを護る?
そんな危険を冒すくらいならば今のままずっと生きていくのが良いだろう」


留三郎が意見する。長次さんはこれに対し、瞑目して耳を疑う返答をした。


「Aが本気で帰りたいならば、私達でAを殺せばいい。即死させられれば五百年近くは戻れるのではないかと推測する」


「……待てよ長次……Aを殺すって?本気で言っているのか!?」


「こんな時に冗談を言ってどうする」


十代の若者らにとっては、あまりにも重い言葉だった。
というか、帰るつもり無いんですが…。皆、そろそろ私の意見も聞いてみない?


「馬鹿な事を言うな長次!!俺達がAを……仲間を殺せる訳ないだろう!?」


それまで大人しく座っていた文次郎君が床を叩いて立ち上がった。


「そうでなければ、躊躇い傷を作るのみで、長く苦しむことになるのはAだ…。一説によれば、介錯なしの切腹で死のうとした場合、事切れるのに二刻は掛かるとか。しかもそれでは百年程しか時間移動が出来ない」


「賛成する奴なんかいないに決まってる!!俺はAが殺してくれと頼んできたって断固拒否するぞ!大体、未来人の話だって作り話の可能性だってあるだろ!」


「この未来人はそう思われることを危惧したらしい。ここに未来の出来事が書かれた手記がある。これを読んで信頼せよと言うことらしい」


長次さんは糸で綴じられた一冊の本をこちらへと差し出した。


「私は目を通してみたが何が書いてあるのかさっぱり分からなかった」


この時代では見ない、横書きで記されたものだった。そこには昭和で生まれ育った男性が南北朝時代に飛ばされたということが書かれていた。そして年表と、その頃に流行したものが付されていた。

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設定タグ:忍たま , RKRN , 竹谷八左ヱ門   
作品ジャンル:アニメ
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玉虫厨子(プロフ) - 麗羅さん» わー!一気読みありがとうございます! 私もどんなエンドを迎えるのか言いたくてうずうずしてしまいます笑 (2月14日 20時) (レス) id: 9682a1978c (このIDを非表示/違反報告)
麗羅(プロフ) - すごく面白くて、一気に読んでしまいました!どうなってしまうんでしょうか…。ハッピーエンドじゃなかったら悲しすぎる!笑 (2月14日 10時) (レス) id: 06bc0a6cee (このIDを非表示/違反報告)
玉虫厨子(プロフ) - Maさん» いつもありがとうございます💓楽しんで頂けて何よりです! (2月13日 22時) (レス) id: 9682a1978c (このIDを非表示/違反報告)
玉虫厨子(プロフ) - ねこさん» コメントありがとうございます🙇夢中とのことで嬉しいです!どのような結末にするかは決めているので、メッセージで質問頂けたらお答えできます! (2月13日 22時) (レス) id: 9682a1978c (このIDを非表示/違反報告)
Ma - 鬱展開なのか...それとも...んでも!!めちゃおもろいです! (2月13日 22時) (レス) id: 8c9f415f7b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:玉虫厨子 | 作成日時:2024年2月2日 21時

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