【マギ】政務官と護衛官 (ページ5)

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第4夜ページ5

太陽に反射してきらきらと輝くブロンドの髪とドレスに散りばめられた馬鹿でかい宝石。

ラシャルト王国第1皇女エルダ様は、噂に聞いた通り華美なお方だ。シンが後で手を出さないように見張らなければいけないだろう。

確かに私の目から見ても整った顔立ちに見えるが、正直に云えばタイプ外とも云えなくはない。というか、タイプじゃない。

さっき私に対して何か不平不満を零していたし。

皇女の隣に居る護衛官のような人も、呆れた目で彼女を見つめていた。

全身に衣を纏い、顔をベールで隠して居るので女性とも男性とも見分けがつかず、中性的な印象を抱いた。

『姫、隣におられるお方は？』

『私の護衛ですの。
こんな格好だけれども一応迷宮攻略者よ。
名前はA。生まれつき声が出ないから会話も成立しないつまらない人間ですわ』

失礼な紹介を受けたその人は、私とシンに軽く頭を下げて会釈をした。

顔を上げたときに目が合ったが、特に意味も何も無いので視線をふいっと互いに逸らしてしまった。

シンが何か言いたそうに口を開けるが、言葉の代わりに笑みをこぼして、姫の手を取った。

『姫、貴方は大事な食客だ。どうか好きなだけこの国にいて下さいね』

『…はいっ‼勿論ですわ‼』

茹で蛸のように顔を赤らめて笑う姫君を見てAさんは呆れ、私はシンを見てため息を吐いた。

お互いに苦労人のようですね、Aさん。