第3夜 ページ4
『遅くなって大変申し訳ありません。歓迎の準備に少々時間がかかってしまいてね』
『いえいえ、私全然待ってませんことよ‼それに、女は男を待つことが仕事 ってよく言うでしょ?』
眉を下げて謝るシンドバッド様。過去に二、三度遠くから見たことがあるから顔は覚えている。記憶が定かではないが、女たらしらしい。
『自己紹介遅れたね。私はこの国の王、シンドバッドです。よくぞシンドリアに来てくださいました。ラシャルト王国第1皇女……』
言葉に詰まるシンドバッド様。名前、覚えてなかっのかな。ひたすら視線を泳がせて頰をかいている。
『…シン、エルダ様ですよ』
『そ、そう‼エルダ様、たっぷりと持て成しますのでどうかこの国を楽しんでください』
王の隣に立つ、私と似ているようで少し違う服装をしている人が姉の名前を耳打ちしていた。私は地獄耳だから鮮明に聞き取れた。
白い肌に白い髪。袖からちらりと見えた、腕に巻き付けられている赤い紐。私と同じ護衛なのかな。そうだとしたら、ちょっと頼りなさそう。
シンドバッド様をシンと呼んでいるあたりから、きっと長年彼に仕えているのだろうな。古参 って感じがする。
『シンドバッド様、隣のお方はだぁれ?』
『政務官のジャーファルと申します』
貴方に聞いたんじゃないわよ、と小声で舌打ちをした馬鹿姉貴。多分聞こえてるぞ、本人にも、大好きなシンドバッド様にも。
ジャーファルさんと目があった時、一応頭を下げた。
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作者名:欅蘭 | 作成日時:2018年8月3日 23時