【マギ】政務官と護衛官 (ページ2)

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第1夜ページ2

私の産まれた国はそれなりに豊かでそれなりに繁栄している。

『ねぇちょっと、来週シンドリアに出航するからアンタ荷物纏めときなさいよ』

『来週、ですか？』

『なによ、護衛のくせに文句でもあるの？』

いえ、そのようなつもりは全く。と目を伏せて口籠もった。言いたいことを言ったってどうせ一蹴されてしまうだけだから、もう何も言わない。

『じゃあ、そういうことで宜しく。せいぜいその醜い顔をベールで隠すことね』

キャハハッと笑って部屋を出て行く皇女に、このくそ女がと内心で毒を吐いた。

でも、こんな皇女でも私の姉だ。……一応

私の数少ない私服と寝間着と制服を詰めるための小ぶりの鞄をクローゼットから取り出してため息を吐いた。

船の長旅は嫌いなのだ。あの足元の覚束ない感じが三半規管を弱らせる。

だが、船に乗っているときの感覚は、母親の胎内にいるときと同じようなものらしく、大抵の人は安心するらしい。

きっと、単純な人が多いんだな。私は捻くれてるからそうは思えない。

異国の地、シンドリアに行くのは少々抵抗があるがしょうがない。国を挙げてのことならば、従うしかあるまい。

どうせ、相手国の王や皇子に一目惚れして結婚するだのしないだのという大騒ぎをするのだろう。

後で対処するのがどんなに大変なのか彼女はわかってないのだ。いっぺん痛い目を見ればいいのに

あーあ、ほんと

、

『最悪』