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15#じわじわ ページ16

ジャーファルさんにエスコートされた先は海の見えるカフェだった。私はハワイアンな椅子に腰かけ、紅茶で喉を潤おす。目の前では白髪の政務官さんがコーヒーを嗜んでいる。

はあ、美味しい。
…と、もう少し紅茶を味わっていたいところだけれど、本題に入らねば。

『それで、ジャーファルさん。補佐って結局何をしたらいいんですか?』

ゴクリ
私が唾を飲む音と、彼がコーヒーを飲み込む音が重なる。

「まず、アレルさんには主に私の補佐をしていただきたいのです」
『ジャーファルさんの、ですか』

一口、紅茶を飲む。

「ですが場合によっては、八人将全員の補佐をすることがあるかもしれません」
『ぜ、全員…?』
「ええ。でも本当に簡単なので大丈夫ですよ」


例えば_

マスルールは昼寝から起こすだけで構いませんし、
シャルルカンとは剣について話すとか、
ヤムライハから魔法を学ぶとか、
ピスティだったら動物の飼育を一緒にするとか、
スパルトスには訓練が終わったらタオルを渡すとか、
ヒナホホとドラコーンは奥さんののろけ話や子供たちについて聞くとか、

「私だったら…書類整理を手伝っていただけるだけでも助かりますし、コーヒーを淹れていただけたなら徹夜の疲れも吹き飛ぶでしょう。それから、」

_逃げた王を捕らえるとか、ね。

最後の言葉が、鼓膜に酷く冷たく響いた。じわじわと嫌な汗が背中に滴る。どうやら王が真面目に仕事をしてくれないことにイラついているらしい。

「とりあえず、補佐の仕事はこれくらいです」
『ふ…不束者ですが、よろしくお願いします!』
「はい。一緒に頑張りましょうね」

春のような暖かさを含んだ潮風が吹き、ジャーファルさんのクーフィーヤーが軽やかに揺れ、太陽の光を反射して銀髪がキラキラと輝く。私に微笑む彼の全てが眩しく感じる。

『…?』

本人が目の前にいるというのに頭にはジャーファルさんのことばかりが浮かんでしまって、すごくドキドキして胸が締め付けられるようだ。脳が蕩けそう。可笑しくなりそう。前にも一度体験したな…なんなんだろう、コレは。……はっ!ま、まさか_

「アレルさん…?どうかしましたか?」
『じ、ジャーファルさん。私、もしかしたら病気なのかもしれません…!』
「ぇえ!?」

声を上げて目を見開くジャーファルさん。

『何だかさっきから胸が苦しくて…』
「だ、大丈夫なんですか!?まずは深呼吸を…」
『ジャーファルさん落ち着いてください』
「でも心配なんです!」

16#少年少女→←14#お迎えに上がりました



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冷水 - 完結おめでとうございます!終わってしまったのは寂しいですが、新作を楽しみに待ってます!これからも頑張ってください!! (2017年8月4日 14時) (レス) id: f2eb36356b (このIDを非表示/違反報告)
茶零 - 始めまして茶零、【されい】と言います。夢小説は書いていませんが、拝見させて頂きました。続きを楽しみに待っています。 (2017年7月20日 16時) (レス) id: 8e05751a55 (このIDを非表示/違反報告)
ひつぎ(プロフ) - スノーだるまさん» いえいえ!お役に立てて良かったです!コメントありがとうございました!! (2017年5月8日 17時) (レス) id: e51d76d422 (このIDを非表示/違反報告)
スノーだるま(プロフ) - ルフの属性紹介ありがとうございます!参考になりました! (2017年5月8日 6時) (レス) id: 1023204a37 (このIDを非表示/違反報告)
ひつぎ(プロフ) - ぱふぃさん» ぱふぃさん初めまして!わわ、私なんかに身に余るお言葉を下さるなんて…!ありがとうございます!(*´∇`*)更新がんばりますね!コメントありがとうございました!(≧▽≦) (2017年4月9日 19時) (レス) id: e51d76d422 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2017年1月6日 17時

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