12#あなたは我々の ページ13
この世界に来てからずっと、関わる人すべてに大切にされてるなとか、想われてるなとか。色々考えさせられてしまう。嗚呼、どうしようもなく、
『自惚れちゃうなー』
「先程も言ったではありませんか。あなたは我々の”特別”です__」
たおやかに微笑む隣の彼。呟いたつもりの言葉は足音で消されると思いきや、しっかり耳に届いていたようで。私に返事をする隙を与えず、たたみかけるように続く彼の言葉。
「存分に自惚れて、”私に”守らせてください」
一部だけをやけに強調され、私は少しドキリとした。まただ。昨日もこんなことがあった気がする。
「さあ、着きましたよアレルさん」
目の前に立ちはだかる壁のような扉は、当然のことながら他の扉とは大きさも品も違いすぎて、一目見ただけで誰の部屋かわかってしまう。否、わからせる。
明らかにカクが違う、王様のお部屋にご到着_
*
王の部屋に入った途端目にしたのは、満漢全席を思わせる料理の数々。気品漂う雰囲気に、私はきゅっと唇を結ぶ。
「おはよう、お嬢さん」
『あっ。おはようございます』
主役の席__いわゆる誕生日席に座るシンドバッド王は、開口一番まろやかな微笑みを添えてそう言った。それを合図に、すでに揃っていたジャーファルさん以外の八人将と挨拶を交わす。
「アレルさまはこちらの席にどうぞ」
女官に誘導され座った椅子は、王と対になる位置に存在する主役の席。この席は全員の顔を見ることができ、尚且つ全員に自分の顔を見られるということでもある。ので、地味に緊張してしまう。
「いただきます」
王の一言で会食は始まる。…ジャーファルさんは”特別”だと言ってくれたが、やはり私がここにいるのは場違いなんじゃないだろうか。
ぱくり
そんな思いを消すかのように私は食事を口に運ぶ。
あ、美味しい。
「お嬢さん、料理は気に入ってもらえたかな?」
お酒を片手に話しかけてきた王様。とても絵になる。
『はい。まさかこんな美味しい食事を朝から頂けるなんて…』
「ははっ、それはよかった__さて、いきなりだが本題に入ろうか。お嬢さんはこの国で何かやりたいことはあるかい?」
優雅に座る王は、まるで品定めでもするかのように私を見詰める。
…正直なことを言うなら働きたくない。ニートを続けてきたせいでそれが当たり前になってしまった。けれど、住まわせてもらっている以上何もしないというのも気が重い。
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冷水 - 完結おめでとうございます!終わってしまったのは寂しいですが、新作を楽しみに待ってます!これからも頑張ってください!! (2017年8月4日 14時) (レス) id: f2eb36356b (このIDを非表示/違反報告)
茶零 - 始めまして茶零、【されい】と言います。夢小説は書いていませんが、拝見させて頂きました。続きを楽しみに待っています。 (2017年7月20日 16時) (レス) id: 8e05751a55 (このIDを非表示/違反報告)
ひつぎ(プロフ) - スノーだるまさん» いえいえ!お役に立てて良かったです!コメントありがとうございました!! (2017年5月8日 17時) (レス) id: e51d76d422 (このIDを非表示/違反報告)
スノーだるま(プロフ) - ルフの属性紹介ありがとうございます!参考になりました! (2017年5月8日 6時) (レス) id: 1023204a37 (このIDを非表示/違反報告)
ひつぎ(プロフ) - ぱふぃさん» ぱふぃさん初めまして!わわ、私なんかに身に余るお言葉を下さるなんて…!ありがとうございます!(*´∇`*)更新がんばりますね!コメントありがとうございました!(≧▽≦) (2017年4月9日 19時) (レス) id: e51d76d422 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:毒 | 作成日時:2017年1月6日 17時