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始業式の次の日、
廉くんを見かけると
口元に痛そうな赤い傷をつくっていて、
言われなくても、
それが紫耀に殴られたものであることは分かった。
理由は分からないけれど、
廉くんが私を庇ったことが
紫耀の気に触ったことは確かで
そうなるとこの傷に、私も少し責任がある。
絆創膏でも届けよう、
そう思って教室に行ったけど、
廉くんの姿は無くて
代わりに
「ちょっと話そう？」
そう私に言うのは
紫耀の親友の海人くん。
彼に連れられて行ったのは
人のいない屋上で、
「ここって入れるんだね。」
海「ううん。もちろん立ち入り禁止。」
「え、やばくない？」
海「まあ、怒られたらその時だよ。」
そう笑って言う。
彼がここに私を連れてきた理由は
少しだけ分かる。
私が、
あの２人に亀裂を入れてしまったから。
紫耀、廉くん、海人くん
いつも彼らは３人で居たから
きっとそれで困ってる。
「海人くん、私が何とかするから。」
え？という顔をする海人くんは
本当に何言ってるかわかんないって顔をしてて
「え、だから、
紫耀と廉くんのこと。」
そう言うと
あー、それね！なんて笑う。
海「それは気にしなくていいよ。
あの人たち、よく喧嘩するからさ。
まあ一週間後にはいつも仲直りしてるから
今回も時間が解決してくれるよ。
ほんと板挟みになる俺の気持ち察しろつーの。」
もうっ、と口を膨らます彼は
少し可愛らしい。
海「それよりさ、
Aちゃんて、男関係で嫌な思いしたことある？」
急すぎる予想外の質問に唖然とする。
海「例えば、
知らない男子から急に連絡先聞かれたり、
告白されて断った男子からしつこく言い寄られたり。」
「ないよ。一度も。」
海「どうしてないの？
一度くらい普通あるでしょ。」
「私が可愛くないから。」
そう答えると、
あちゃー、これはだめだ、
って海人くんが頭抱える。
海「何言っても納得してくれなさそうだから
これからする話は想像だと思って聞いて。」
彼は、私に何を言わせたいのだろう。
海「君は男子のなかでとても人気で、
沢山の男子が今か今かと近づくチャンスを
首を長くして待ってる。
でも、君は一度も
奴等から嫌な思いをさせられたことがない。
どうして？」
そんなの私にはあり得ない状況なのに
分かるわけないじゃない。
そもそも、
海人くんがなんでこんな話を私にするのかも
わからない。
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作者名：Kipi
| 作成日時：2019年1月7日 9時
