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案の定、
噂は瞬く間に
' 平野から永瀬に乗り換えた '
というものにすり替えられた。
2人とも色んな人から
女の趣味が悪いって言われてるに違いない。
なんか、申し訳ないな。
心のどこかで
紫耀にはこの噂知られて欲しくないな、
そう思う自分がいて、
わたしの好きな人は紫耀だよって
少しだけ言いたくなる。
よく考えれば
わたしはずっと
紫耀にこんな気持ちを味わせてたんだ。
罪を償うって
こういうことか、と思った。
移動教室で
紫耀の教室の前を通った時、
「紫耀、
Aちゃんとキスしたことないってマジ?」
そう言う男の子の声が聞こえた。
紫耀自身がそう言ったのか、
誰かが
わからないけれど
紫「うん。」
そう答える紫耀の声が確かに聞こえた。
「そんなの付き合ってるって言わなくない?」
「ただ相手に魅力が無かっただけじゃん?」
「ああ、それありえる。」
「紫耀くん、彼女のこと、
そんなに好きじゃなかったんだろうね。」
そう言いながら
クスクス笑う女の子達の声が聞こえて
耳を塞ぎ、顔を俯く。
これも罪を償う何かなのだとしたら
もう少し他のにして欲しいと思った。
助けて、そう思うけれど
ずっと私を助けてくれたヒーローは
もういない。
急に、
彼の教室が
バン!という何かを蹴った音で
静まり返った。
廊下にも散らばってきたゴミたちを見ると
たぶん蹴ったのはゴミ箱だろう。
「居ない人のこと悪く言うとか
お前ら相当な性悪やな。」
特徴ある関西弁の声がして、
また彼か、と思った。
また廉くんに助けられてしまった。
今度は、
紫「お前が言える立場じゃないだろ。」
なぜか紫耀がそう怒る声が聞こえて
バンっと人を殴る音がする。
状況が把握できなくて、
直立のまま教室の前に立ちすくんでいると、
拳を撫でながら
教室から出てくる紫耀が見えて、
俯いてた顔を少しだけ上げると
バチっと合う目線。
目を見開いた彼は
驚いて声が出ないような感じで、
私はそのうちに走ってその場から離れた。
紫耀から逃げるのは
これで何回目だろうか。
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作者名:Kipi | 作成日時:2019年1月7日 9時