第61話 ページ18
Aside
『…ん、んぅ…』
目が覚めた。白い天井、薬臭い独特の匂いから“病院”だということがすぐ分かった
起き上がろうとするが何か色々な機械に私のいたるところがホースで繋がれていてそれは不可能だった
ある程度治療をしたのか、怪我は全くとは言えないけど少し痛みは無くなった
辺りを見渡せば屈めば出れそうな小さい窓が1つ
病院のお世話になんか絶対なりたくない、みんなが来る前に早く逃げなければならない
そう思い、私はホースに手を伸ばした。すると何やら足音が聞こえてくる。まだ遠い感じがするけど数人はいる
『っみんなだ…ど、どうしよ…』
どんどん近づいてくる足音、それに比例して心臓がどんどんうるさくなる。私には寝たフリしか浮かばなかった
ガラッ
『(お願い、バレないで…っ)』
「A…」
まふくんだろうか。私の頬に優しく触れてきた。その手は微かに震えていた。手を握られた時には泣いている気がした
みんなも触れてきた。手、髪、肩、頬。どの手も冷たくて、震えていた。まるで、私がいなくなるのが怖いみたいに。そんな訳ないのに…。
みんなが1人ずつ私に何か言ってるみたいだ。その言葉は私の耳には届いても心には何にも響かなかった。私の深く亀裂が入った隙間を埋める足しにもならなかった
そらるさんが言って出ていった後、まふくんはまだ私の手をぎゅっと握っていた。離さないと言わんばかりの強さで
__その手が心地よくて不覚にも手を動かしてしまった
『(しまった、やらかした)』
まふくんも気づいたのか、じっと見つめられてる気がする。でも気のせいだと思ったのか、私に声をかけて病室を出ていった。私は安心のため息と共に目を開けた
明日も来ると言っていた。なら明日までにはここを出て行かないと
少し力を入れればいとも簡単にブチッという音を立てて千切れた。__すると頭が鈍器で殴られた様な衝撃を受けた
『っぐ……っぃた…』
あまりの痛さに片方の目を瞑るが手は止めなかった。ブチッブチッと静かな病室に響く
『っ…ハァハァ…あと…いっ、1本んっ…』
ホースを千切るほど、体が痛みを感じるのは気のせいだということにしよう。最後の1本に手をかけたその時、
・
・
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「Aちゃん……?な、何してるの…」
___ドアの近くに立ちすくむ7人の影
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ずっきーにねむいふわふわ(プロフ) - 過去とバッドエンドで泣きまくりました。こんなに感動する小説初めて……。 (2022年12月24日 7時) (レス) @page28 id: f2c96b9d0d (このIDを非表示/違反報告)
天使ちゃん。(プロフ) - 占ツクで初めて泣きました... (2021年2月21日 5時) (レス) id: 9ae00b4df1 (このIDを非表示/違反報告)
リ - なんか目から何回も水が出てくるんですが何なんですかねこれ、、、、、、なんか止まらないんですけれど、、、?? (2020年10月6日 0時) (レス) id: e91b9a8a8b (このIDを非表示/違反報告)
ピピ(プロフ) - 小説で泣いたの初めてです………… (2019年12月22日 15時) (レス) id: 57f5280136 (このIDを非表示/違反報告)
かな(プロフ) - バッドエンドですごく泣きました! (2019年12月11日 0時) (レス) id: bf10033614 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:.。なな。. | 作成日時:2019年4月20日 13時