【オリジナル】トラウマ克服幸福ゲーム

5:ルール説明 ページ5

『さて………そろそろちゃんとゲームのルールを説明しないとネ』

セイヴァーは姿勢を正した。
真っ直ぐ見られている。

『改めてまして、ボクの名前はセイヴァー、ボクは皆を“幸せ”にしてあげたくて、ここへ招待しました！』

セイヴァーが声高らかに宣言する。
声色は明るいが、雰囲気は冷たい。
先程のふざけた雰囲気は既に消え、緊張が走る。

沈黙の中、セイヴァーの声が響く。

『皆は、この“トラウマ克服幸福ゲーム”により、自らの過去と向き合い、打ち勝つんだ』

そんな中、きゅぽ、と軽い音がして、黒いマスクをした……絆さんがスケッチブックに文字を書き、セイヴァーに見せていた。

［自らの過去…トラウマと向き合い、克服出来なければ死ぬ、という解釈で良いのか？(ゲームとかだとそうだけど)］

セイヴァーが文字を見て頷く。

『そう、流石“きーちゃん”は鋭いネ、その通り』

一つ、咳払い。

『ここに集められたのは皆がトラウマを所持しているから、それを月曜日……取り敢えず明日にこの中の誰かのトラウマを公表する』

『公表されたトラウマの持ち主は次の月曜日、一週間後までにそのトラウマを克服して欲しい』

『でもトラウマって１人で克服するのは難しいと思う、だから誰かに助けを求めて一緒に克服してもらって構わない』

『けれど一週間後、“幸福投票”が行われる、その時皆は公表されたトラウマの持ち主だと思う者に投票する、その投票で一番人気だった者は』

セイヴァーが噛む事なく、突っかかる事なく、眈々と機械の様に説明していく。


『………幸せな、最期を迎える』

その一言だけ、感情が込もっていた。
悲しそうで、どこか嬉しそうで。

僕には、その感情が何故か理解出来なかった。

「………はい」

手が挙がる。
赤髪の女性……蘭さんが声を発した。

「もし、克服出来た場合は、どうなるんですの？」

セイヴァーが笑った。
仮面越しだが、分かる。
雰囲気が暖かくなったから。

『“らんちゃん”その時は、死ぬのはナシになる、すぐにここから脱出するか、残って皆の手助けをするか……の二択を迫られる、決めておいてネ？』

『ボクは、皆に生きて欲しい』
『死にたいなんて考えないで欲しい』

『ボクが皆に生きる意味を教えてあげる、だから短い間だけど宜しくネ』

絶望的ゲームの主催者だとは思えない暖かい言葉を投げ掛けられ、全員が固まった。






セイヴァー……君は何者なんだ？

でもそんな君は、昔、ずっとから隣にいてくれた大事な……？

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