クリスマスと君【第五人格】

りんご ページ15

医務室に運ばれてきて三日目。



真っ赤なりんごを持った彼がやってきた。



「身体、起こして食べれるってエミリー先生に聞いたので持ってきたのですが・・・食べれそうですか？」



「うん、大丈夫。ありがとう、私りんご大好き。」



まだ起き上がろうとすると多少痛むけど、二日前に比べればだいぶ回復した。



私たちの怪我の治りは本当に早い。



でも、荘園に来てからだから魔法でもかかっているのかなぁなんて思ったりもする。



彼はベッド横の折り畳み式の椅子を広げて腰掛けるとナイフでスルスルとりんごを剥き始めた。



「へぇ・・・私より上手ですよ、絶対に。」



「褒めてもりんごしか出てきませんよ。」



彼の冗談にもクスっと笑ってしまう。



りんごをくし形に切って、お皿に盛りつけるイソップ君。



なんでも様になってしまうのがまた彼のずるいところだった。



「美味しい！！」



久しぶりに食べたりんごはとっても美味しく感じる。



彼が剥いてくれたからかもしれない。



「そういえばなんですが・・・」



「この間の話。」



「ん゛っ・・・」



「大丈夫ですか！？」



この間の話。というのは私が暴走発言をした日の話だろう。



いきなりでりんごがのどに詰まる。



「うん・・・大丈夫。ごめんなさい」



「よかった・・・いきなりでしたね、こちらこそすみません。」



「大丈夫なんで話してください。」



「わかりました。」



彼はもう答えが決まっているのだろう。



曇りのない瞳をしていた。

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