35 ページ36
(nishijimaーside)
レコード大賞、紅白歌合戦、年越しライブと。
年末年始の目まぐるしいイベントをグループ皆で乗り越えて。
いよいよ年始休み、俺と詩は飛行機に乗っていた。
…と言っても、一緒にではない。
世間にバレないよう万全に万全を期す為、別れて飛行機に乗ってる。
西「…はぁ」
1人、窓の外を眺めながら寂しく嘆息する。
勿論仕方ないとは分かってるし、寧ろ分かれて飛行機に乗る事を提案したのは俺だ。
仕事ならまだしも、プライベートで2人で北海道行きの飛行機に乗っている事を、俺達の事を知ってる誰かに見られでもしたら洒落にならない。
でも。
少しだけ、期待していた。
「そっか…仕方ないね」と、寂しそうに頷く詩が見られるかなと。
2人で初めての旅行(というより里帰り)なのだ。少しくらい浮かれても良いだろう。
彼女の可愛い反応が見たい、なんて思うのは男の性。
でも実際、俺の提案を聞いた詩の反応は。
「確かにそうだね。私も新曲の歌詞書きたかったから1人で良かったかも!」と何とも明るいもので。
それを聞いた俺の落胆を、詩は知る由もないんだろう。
ーーいや、分かってた
ーーたかだか数時間離れて移動するくらいで、詩は何とも思わない
寧ろ1人になった時間を喜んで仕事に充てる女だ。
西「…はは、」
ーー俺も仕事しよ
煩悩を振り払って、ノートパソコンを開いたのだった。
.
母「お帰り」
西「ただいま。迎えありがとう」
空港の駐車場まで車を走らせてくれた母さんに礼を言うと、帰りは自分で運転しろと席を譲られる。
母「それで詩ちゃんは?」
西「次の便だから、後1時間くらいかかると思う。場所と車の特徴だけは今送っといた」
後ろの席に座った母さんは、頰に手を当てた。
母「ライブ会場で会った事はあるけど、家に来るなんて初めてだから張り切って掃除しちゃった」
西「あは、お疲れ様」
母「ねえ、大切にしなさいよ」
軽口で、だけど重みのあるその言葉に。
西「…ん」
しっかりと頷いて答えた。
308人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
海(プロフ) - 海音さん» ありがとうございます!次章もマイペースに更新していきたいと思っておりますので、またよろしくお願い致します! (2020年2月20日 20時) (レス) id: 37dc25736a (このIDを非表示/違反報告)
海音(プロフ) - 楽しく読ませて頂いてます!すごく面白いです!!次の章も楽しみです!これからも頑張ってください!! (2020年2月19日 23時) (レス) id: 8f38073b2c (このIDを非表示/違反報告)
海(プロフ) - ゆうさん» かなり長かったと思うのですが、ありがとうございます!マイペースな展開と更新になりますが、これからも頑張って参りますので、お付き合い頂ければ嬉しいです! (2019年12月14日 18時) (レス) id: 37dc25736a (このIDを非表示/違反報告)
ゆう - 最初から一気に読んじゃいました!笑 とっても面白かったです! これからも頑張ってください! (2019年12月14日 16時) (レス) id: 3d09ff0bd0 (このIDを非表示/違反報告)
海(プロフ) - EYさん» ありがとうございます!ゆっくりで良いとお気遣いまでして頂き、本当に嬉しいです。マイペースに頑張って参りますので、これからもよろしくお願い致します! (2019年11月18日 20時) (レス) id: 00727ba42b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:海 | 作成日時:2019年11月9日 18時