〜HORIZON〜10th

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(Itoーside)


ーー産むのか産まないのか


ーー相手の人はどう思ってるのか


ーー仕事はどうするのか


ーーメンバーの事は、ファンの事は？





ぐるぐる、ぐるぐる。


答えが纏まらない問いが、何度も何度も頭を回って。





伊「ぅ…、」


襲いかかる吐き気に、自宅で1人必死に堪えた。





ーー気持ち悪くなってる場合じゃない、


ーー考えなきゃ…



そう思うのに、身体はついてこなくて。





伊「っふ…う、」



身体の不調と、沢山の不安に、心が押し潰されそうになる。





ーーごめんなさい


その謝罪さえ、今の私にする資格なんてなかった。



私自身、この先をどうするか決めてないのに。



そんな曖昧な謝罪なんて、何の意味もなかった。





伊「はぁ…はぁ……」



ベッドに寝転がって、腕で顔を覆う。








『どの選択をしたとしても、僕は千晃ちゃんの意思を尊重したいと思ってるよ』



目を閉じれば、彼の優しい声。





與『ええやん、両立したら』



西『無責任なんじゃない？』


『子どもにとっても…たった1人のお母さんになるんだよ』



すべて、私の事を考えてくれたメンバーの言葉。





考えれば考えるほどに。


痛くて、苦しくて。





ーー全部、なんて…そんな欲張りな事はできないよ…





どれも諦める覚悟はできなくて。



どれかを選ぶ勇気も、今の私にあるはずがなかった。









伊「…ごめんね、」



身体を丸めて。


まだ実感の少ないお腹に両手を当てる。





伊「弱くて……弱いママで、ごめんね」





もう少し。


後もう少しだけ、考える時間を下さい。





祈るように、そのまま私は気を失うように眠りについた。

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