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(uno-side)
宇「詩、ダンスもね。同じだと思う」
「え?」
キョトンと此方を見つめてくるけど、それは予想通りの反応。
ふふ、と笑った。
宇「私はまだファンの前に立ったこととかないから、よく分かんないけど。でも、誰かと一緒に踊るのが大好き。勿論、一人で踊るのも楽しいけどね」
きっとこの想いは、詩のそれと似ている気がする。
宇「詩、想像してみて。隣に私達がいることを。目の前に、見てくれる人達がいることを」
詩のダンスを直接見たことはないけれど。
私よりもずっと運動神経が良いことは知ってるんだから。
きっと、努力家なこの子なら技術はすでに追い付いてきているはず。
……後は、心の問題なんだと思う。
宇「待ってるよ。私は詩と一緒に踊りたいから」
私の言葉に目を丸くした詩は次第に照れたようにはにかんで、「うん」と頷いたのだった。
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(you-side)
食堂を出て実彩子と別れた私は、再びレッスン室へと戻ってきた。
本当は休むべきなんだろうけど、今なら何か、掴めそうな気がして。
何か言いたげに口を開きかけた実彩子も、最後には何も言わずに見送ってくれた。
レッスン室の扉を開けようとして。
「あれ、電気が……?」
誰か練習してる?
ソッと中を覗いてみると。
「……秀太?」
末「!……詩」
驚いたように動きを止めた秀太は私を見て、眉をひそめる。
末「こんな時間まで何してんだよ」
「晩御飯食べてきたから、もうちょっと練習しようと思って」
末「もう9時になるけど、今から練習する気?」
腕を組んで嘆息した秀太は目を伏せる。
末「こないだのことなら気にする必要ないから」
「え?」
末「あれは苛々してただけだし、八つ当たりして悪かった。俺だって歌よりダンスに力いれてるんだから、お前だけ責めるのはお門違いだったわ」
「…!」
私は少し、秀太のことを誤解していたのかもしれない。
自分が歌よりもダンスを優先させて、それがメンバー間の仲を多少なりとも乱してしまっていることを認めている。
きっと誰よりもまっすぐで、妥協を許さない…他人にも、自分にも厳しくなれる人なんだ。
「秀太、お願いがあるの」
それなら、やってみたいことがある。
「私と一緒に、躍りながら歌おう」
歌が大好きな私と、ダンスが大好きな秀太とだからこそ、今やりたいこと。
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miyu - はじめまして!このお話号泣してしまいました(笑)大切な人と自分の夢…どちらを選ぶかって辛い決断ですよね。最後のほう号泣でティッシュひと箱なくなりました(笑)これから続編を見たいと思います! (2020年9月24日 20時) (レス) id: 522229740f (このIDを非表示/違反報告)
夏目海(プロフ) - はづこ。さん» ありがとうございます!できれば今週中には続編を作りたいと思っておりますので、今暫くお待ちいただければ幸いですm(__)m (2018年2月14日 23時) (レス) id: fc74eeea72 (このIDを非表示/違反報告)
はづこ。(プロフ) - とても楽しみにしてます!頑張ってください!(*⌒▽⌒*) (2018年2月14日 15時) (レス) id: 8b66f080ab (このIDを非表示/違反報告)
夏目海(プロフ) - あかりんごさん» ありがとうございます!ヒロインとAAAの物語はまだまだ長くなる予定なのでお付き合い頂けると幸いです!今夜もこの後更新予定ですので、暫しお待ちくださいm(__)m (2018年2月5日 17時) (レス) id: fc74eeea72 (このIDを非表示/違反報告)
あかりんご(プロフ) - 毎回更新を楽しみにしてます!続きが気になる終わり方…!!!!!これからひろいんとAAAがどうなっていくのか楽しみです!応援しています! (2018年2月4日 21時) (レス) id: b2fbf946ee (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:海 | 作成日時:2018年1月5日 13時