327 10年後… 翔side ページ44
あれから、10年後
俺たちは誰も知らない町で探偵として働いている
なぜ、こうなったかというと皆が俺が人を怖がっているのを気にして…俺自身ももう刑事を続けたいと思わなかったから
その考えを皆に言ったら、智くんが
智『じゃあ、一緒に辞めようか！』
って何でもないように言って…
無理しなくていいと言ったんだけど、他の3人も
雅紀『ちょうどよかった！やりたいことがあったんだよね〜』
和也『やっとこの堅苦しいスーツを脱げますよ〜』
潤『あぁー、これであのくそやろう達とおさらばできる』
とこれまた何でもないように言って…収まりかけた俺の涙腺が緩むのに時間は入らなかった
辞表は、俺達を代表して智くんが出してくれた
帰ってきた智くんが『警視総監に“これであの課を無くせる”って嬉しそうに言われちゃった』って苦笑いで報告されて、どんな顔をすればよかったか分からなかったけど…
それからはあっという間だった
まず、皆で何やるかって話になって
相葉くんが『だったら探偵やりたい！』って言い出して…
理由を聞いたら
雅紀『翔ちゃんやAちゃんみたいな子をなくしていけるように』って言われた
俺、“子”って言われるような歳じゃないんだけどって突っ込みたかったけど、
彼の穢れのない真っ直ぐな言葉に俺が素直に礼を述べたことでそれは決まった
住むところは全員一致で“誰も知らない静かなところ”とは決まっていたものの全員心当たりがなくて…
俺が偶々最後の診察で柊先生に会いに行った時に
柊先生が
柊先生『だったら、僕の知り合いの心療内科の先生が勤務している地域がそれに当てはまるのでそこはどうですか？』
って提案してくれた
柊先生が言うには、俺の状態が見える怪我は完治しているんだけど、
見えない怪我…いわゆる心の傷が…って感じで
っていってもここにいても周囲の目もあるから余計酷くなるんじゃって心配していたみたいだから
俺のその相談であそこなら…って考えてくれたみたい
その後、柊先生がこの町の先生…如月先生に連絡して紹介状も書いてくれて…
皆への相談をせず決めてしまったから、事後報告で皆に言ったら『いいんじゃない？俺達はどこでもついていくよ』って言われちゃった
この町は、見渡す限り田んぼしかなくて
住んでいるのもおじいちゃんやおばあちゃんばかり
だからか、俺達がこの町に引っ越してきてからは自分の孫のように可愛がってもらっている
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作者名：うめパンダ | 作成日時：2020年1月24日 22時
