288 翔side ページ5
田原「僕も最初は思いました。」
翔「っていうことは…今は、もう一人の人格の方なのか？」
田原「はい。僕は主人格と区別するために、
主人格の方を“A”、もう一人の方は“相棒”と呼んでいます。」
翔「相棒…」
ふと、思い出した
確か田原と最初に出会った時、相棒を助けてくれとお願いされた…
それは、彼の共犯者のことだと思っていたが…
Aのもう一人の人格の方を指していたんだね
田原「相棒は言いました。
『優一、君のお父さんの無実は必ず俺が証明する。だから見守っていてくれ』と…
僕は直感で思いました。
彼女は危険なことをしようとしてる、僕が彼女を助けないと…
だから、僕も自分自身の復讐と彼女を守るために彼女の共犯になることを決意しました」
なるほど…そんな経緯が…
A「優一、話の腰を折ってんじゃねーよ」
田原「ごめんごめん、彼が不思議な顔をしていたから…」
A「ふぅーん、まぁどうせバレることになるんだったからいいか」
じゃあ、さっきの続きを話すな？と言う彼女
…いや、こういう場合“彼”って言っていいのか？
少なくとも、俺が彼のことを“相棒”と呼ぶとガチで切れられそうだから
変えずに“A”と呼ぶか…
A「それからは、警視庁へ異動命令が出るように日々の勤務に入って
4ヶ月後に異動命令が出て、奴等に不審に思われない荷物の整理係に無理言って希望を出した」
…ん？俺は彼女が発した言葉の中に違和感を感じた
もしかして、いやまさか…
見つけてしまったもう一つの真実に、驚きを隠せない
でも、彼等は俺の様子に気づいていないのか
あるいは気づいても今は聞かないだけなのかわからない表情をしていた
A「その後はまぁ…あんたらARS課の推理通りだ
1年一緒にいると、こいつらならちゃんと真実にたどり着いてくれるって分かったから
優一にも聞かせられるよう、あの場所に盗聴機を仕掛けて…
最初は、完全犯罪っぽくやったけど3件目から
このままだとこいつらが事件だって思ってくれないんじゃ？と思って
ちょこちょこと俺たちの存在を出した」
田原「小野兄弟の時に協力してくれた光枝おばちゃんは、元々僕たちの近所に住んでいて
あの事件が起きてからも唯一、僕たち2人の味方でいてくれたんです。」
A「だから、俺たちはおばちゃんだけには事前に俺たちの計画を伝えた。
そうしたらさ、おばちゃん
『私もあの人を殺した犯人が許せないから、協力させて欲しい』って言ったんだ」
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作者名：うめパンダ | 作成日時：2020年1月24日 22時
