ARS課の事件簿最終章 (ページ38)

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321 智side ページ38

柊先生「夜分遅く、来ていただきありがとうございました」

何時間か前に会った柊先生とベテランの看護師さんがおいら達に頭を下げる
そして翔くんが居なくなったことを発見したという明らかに新米の看護師さんが青い顔で立っていて…このままだと倒れてしまうんじゃと心配になる

雅紀「い、いえ！ちょうど起きてたので…ね？」

彼等に気を使った相葉ちゃんは何でもないように声を出し、
おいら達にも聞いてきた

それにおいら達は無言で頷く

さすが相葉ちゃん
本当ならその役目、おいらがやらないといけないのに…

和也「…居なくなったってどういうことです？」

声を荒げるでもなく淡々と問うニノ
ちょっと…ナースちゃん泣きそうになってるんだけど？
まぁ、気持ちは分からなくないけど…

柊先生「…そうですね。南さん、さっき僕に報告したように彼等にも話して？」
南「…はい」

そう返事すると彼女は、詰まりながら何が起きたのかを話し出した

南「私は、最初の見回りが23時だったのでいつも通りに病室をまわり一人一人呼吸の確認や床擦れ防止のため体位を変えたり…患者さんによっては御手洗いへの声かけを行っていました。」
和也「はい」

南「櫻井さんが一番奥の部屋だったので見回りでは一番最後に確認してました。今日もいつも通りに確認したんですけど…」
和也「居なくなってたと」

南「はい。病室へ入った時に布団の膨らみ方に違和感を感じてすぐに捲ったら櫻井さんがいなくて…慌てて近くの御手洗いも確認したんですけど、誰もいなくて…
すぐに他の科の夜勤者に声をかけ、柊先生と櫻井さんの担当である松田さんにも報告し来ていただき、全員で病院の中を探しました。しかし…」

和也「どこにも居なかったと」
南「…大変申し訳ありませんでした」

深々と頭を下げる彼女
それに対し、今のニノはまた何かを言おうとしている

おいらはそれを止めるため、2人の間に入る

智「南さん…でしたっけ？」
南「はい」
智「ありがとね？櫻井が居なくなったことに気づいてくれて」
和也「大野さん？！」
智「ここからは僕たちが探します。謹慎処分中ですけど…一応、刑事なんで」
南「大野さん…」
智「だから南さん、貴方は今回のことで責任を感じる必要はない。むしろ、その丁寧さはこの病院に必要不可欠なんだ」

同じナースでもここまで違うとは…
きっと、彼女は将来いい看護師さんになるよ