297 護りたかった 翔side ページ14
A「お前、何やってんだよ！何で俺を護ってんだよ！」
大声で俺に呼び掛けるA
その声は心なしか震えている
A「俺は…あんたらを騙したのに俺は…」
翔「俺も…何でこんなことをしたのか分かんねーよ…俺ヘタレなのに…自慢じゃないけど」
A「だったら！」
翔「でも…これだけは言える」
A「…何だよ」
翔「護りたかったんだよ…お前を」
A「…それは、“A”の方だろ？Aを護りたいからそうしたんだろ？」
翔「お前もなんだよ！俺にとってはARS課の彼女も今の君も同じ“佐々木A”なんだって！」
こんな状態で大声をあげたせいで思わず咳き込んでしまった
ヤバい…目の前の景色が霞んでく
A「バカ！大声を出すんじゃねーよ！」
翔「…君は本当は、最初から俺を殺す気はなかったんじゃない？」
A「何を言って」
翔「殺したいほど憎んでいる奴の息子が、こんなに近くにいるのに…君はその銃で僕を殺さなかった…」
A「それは…」
翔「その銃に入っている弾丸、あの時君が脅しで撃ったので最後なんだろ？
ここまでやる君だ。弾丸の数を数えていなかったとか間抜けなことはしないはずだからね」
俺がそう言うと、ふふと彼女は鼻で笑った
A「…お前、俺のこと過剰に評価し過ぎだろ」
翔「違う？」
A「ただ俺は…Aの瞳越しにだけどARS課のあんたの様子を見て」
翔「ふふ、うん」
A「息子なのに、あいつと全然正反対で…
優しいし、仲間想いだし」
翔「はは、俺も随分と過剰評価されたもんだな…」
A「何度か、復讐を止めることが頭を過った
でも…したくなかった、しちゃいけないと感じた」
翔「うん」
A「俺が諦めたら、優一は死ぬまで殺人犯の息子。そう考えたら辛すぎて…」
田原「それは、僕だって！Aちゃんを20年前の事件から解放させたくて…」
翔「お互いに思ってたんだな…」
そう言うと、2人は顔を見合わせてふふっと笑った
…何か甘すぎて嫉妬すんだけど
A「俺、あんたとは違う形で会いたかった」
翔「…それは俺もだよ」
来世で会えたら、恋人まではいかなくてもいい関係になるのかな？
って、何考えてんだ俺…
あぁ、そうか。死ぬのか俺…
ふとよぎった考えに思わず納得した
だからかな、Aと田原が何かを叫んでんだけど…意識がとびとびで全く内容が入ってこない
A「翔くん！！」
俺を呼んだのはどっちの“君”？
そう尋ねる前に、俺は意識を失った
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 241人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：うめパンダ | 作成日時：2020年1月24日 22時
