【ab】りんご系少女は今日も髪を揺らす《 完結 》

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かこんと獣脅しの音が鳴る
この部屋はきっと書斎だろうか
棚1面に本がぎっしりと並んでいる

そこに1人で座らされている俺は
緊張のあまり自然に正座をしていて
目線は下に背中も丸まってしまってそうだ






｢虻川くんだっけ｣

｢あ、はい、そうです｣

｢君のことは知っているよ
Aと同じ学校で生徒会の子だろう？
この前の講習会ではお世話になったね｣

｢あ、いえ、こちらこそ｣







話してみると風貌とは逆で物腰が柔らかい
うちの親父とはまたちょっと違う風格を
持っているけど優しさが感じられる

あの母親とこの父親からAちゃんが
産まれ今尚育てられているのだから
きっと柔軟で自然に愛情を込められ
育てられたんだろう

俺は基本的にお手伝いさんばっかり
だったから少し羨ましい







｢まぁ、正直難しい話は無しだ
君の活躍は先生方から聞いたことがある｣

｢だけど君の本性というものを俺は知らない｣









まぁ、俺が元遊び人なんて学校の先生は
知らないだろうしそんな噂はあっても
優等生の俺のことを疑う先生なんていなかったし

もしもそんなことがバレてしまったら
別れろ！なんて怒鳴られるかもしれないし

自分の本性がクソだということを
改めて知ったけれどそれまでの行いで
癖が出てしまったらどうしよう

次の言葉を心臓が爆発しそうなほど
緊張して待っていると突然立ち上がり









｢ゲームをしよう！｣

｢……はい？｣

｢ゲーム君も好きなんだろう？｣

｢え、まぁ、かなり好きですけど｣

｢なら話は早い｣









ポンポンと進む会話に戸惑っていると
Wiiリモコンを渡された

大きめのテレビに表示されているのは
Wiiリゾートというパーティゲーム

懐かしい
数年前セピアさんたちとやったヤツだ








｢俺、このゲーム強いんで負けませんよ｣

｢はは、はすおもそんなことを言ってたなあ｣

｢はすおより上手いところ見せちゃいますよ｣

｢お〜！かかって来い〜！｣









全力でゲームをして汗だくになる頃には
外は少し肌寒くなっていて
夏の大三角が綺麗に見え始めていた

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