全日本男子達のコイワズライ【*Short story】

episode 27 【柳田将洋】 ページ29

ワールドカップバレー初戦の相手はイタリア。



第1セット、日本は試合開始から石川くんがサーブでリズムをつかんでくれて1セット目先取。


第2セット、西田くん、石川くんのスパイクが決まり連取。



迎えた第3セット。


これで勝てばストレート勝ち。



応援にも熱が入る。


会場「ニッポン！ニッポン！！」


イタリアにリードを許している…ここで離されるのは辛いところ。



タイムアウト中



なんとなくあいつに声をかけにいく。



「ねぇ、次ピンチサーバーだよね？


絶対入れてね、入れなきゃしばきまわすから」


『当たり前。


てかお前どこの人だよしばきまわすって(笑)』


「なっ！！！」



.





実況「おっとここで柳田選手ピンチサーバーとして入ります。ここでイタリアの勢いを止めたいところ！さぁどうだ！？」




『…すぅ…』



小さく息を吐く。ボールを突いて…




垂直…真上にあげる。



ﾊﾟｼﾝｯ




その一瞬まるで時が止まったようだった。



「…っ」





悔しいけど、綺麗…そう思ってしまった。



ﾋﾟﾋﾟｰｰｰ！！



実況「インです！サイドラインギリギリを狙いました！！」



会場「わああああ！！！」




そのあとは逆転し、無事第3セットも取り、ストレート勝ちを収めた。





試合後のストレッチ中、不意にに柳田くんと目が合う。



『…！』ﾌﾟｨ



ん？そらされた？？


てかなんか柳田くんと耳赤くね？試合後だからかな？




やっぱり最後に残るのはこの3人で。



石川「なんかこのメンツ見覚えあるね？(笑)」



「いやぁなんでいつも同じなんだろ(笑)」


石川「あ、俺、救急のやつ持つよ」



石川くんが私の肩からとろうとすると、


『俺が持つから、いい。ほら貸せ』


反対側の柳田くんに取られた。



「あ、ありがと…」


『ん。』



気がつけば柳田くんとはタメになっていて。



石川「じゃあマサとAちゃんでるよ〜」


そう言って出口へ向かう石川くん。






「ねぇ柳田くん。あとで前の椅子のところきて。」



『は？なんで？いいけど』




.



.


荷物は一旦部屋に置いてきた。



「そこ座って。」


そう言って私がウエストポーチから取り出したのはテーピングとアイススプレー。



「さっきピンチサーバーの時、着地のとき足捻ったでしょ？」



『あー』


ばつの悪そうな顔見えてるよ。(笑)

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