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そんな焦りからか、まるで縋るように
両手でぎゅっとカカシの胸元を掴む。
「いやだよ、まだ傍に置いてよ、隣りに居たいの!
何が駄目だった・・・?カカシさん・・・っ」
力の込もるAの両手に、カカシは優しく自分の手を重ねた。
切羽詰まったAの表情にズキリと胸が痛んだが
これは自分たちの為でもある。
「違う、俺がそうして欲しいんだよ。
お前にはもっと里に居て欲しい。いつも俺の目の届くところに居て欲しいんだ。
A、分かって・・・。」
その言葉に、カカシの服を掴むAの手からゆるゆると力が抜けていく。
目を逸らし、現実受け入れられないと言った様子のAをそっと抱きしめた。
「ねぇ、俺はお前を愛してるから。
だからもっとお前の姿を、面を付けてないこの綺麗な顔を、俺たちが大切にしてるこの里で見たいんだよ。」
カカシはそう言いながら、Aのブラウンの髪に指を通す。
するすると何度も梳かし、ひと束掬い上げて口付けを落とした。
大好きで、愛しくてたまらないこの女性を絶対に失いたくない。
守りたくて、離したくなくて、ずっと一緒に生きていきたい。
そんな想いが溢れて止まらなくて
想い合っていても尚、求めて止まらない。
「私は、ずっとカカシさんの隣に居たいの・・・。いつだってカカシさんの事を分かっていたいし、力になりたいから・・・。」
Aの小さな声が、カカシの耳元で優しく鼓膜を震わす。
あぁ、自分は愛されている、と痛いほど感じる。
「だからだよ・・・。
これからはもっと一緒に居てよ。離れたくないんだ。」
暗部として、愛する人のすぐ隣りに立ち続けたいというAと
もっと一人の人間として付き合っていきたいカカシとの気持ちが交錯していた。
単純に考えられたらどんなに楽か、とお互いが同じ事を思ったが
それを言葉にする事は無かった。
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わしゃ - 今まで見たカカシ小説の中で一番好きです!!言葉選びのセンスが天才すぎます!!寂しささえ愛おしいって言葉大好きです! (1月17日 23時) (レス) id: e5fa74d92a (このIDを非表示/違反報告)
ui(プロフ) - Sakiさん» こちらこそありがとうございますー(*^^*)もう一話、楽しみに待ってくださる方がいらっしゃると思うと書きたくなります★暑い夏、妄想して夢見て乗り切りましょうー♪笑 (2020年8月13日 23時) (レス) id: 9e72caa6a0 (このIDを非表示/違反報告)
Saki(プロフ) - ヤキモチをやくことになる別のお話楽しみに待っていてもよろしいでしょうか(o^^o)キュンキュンして切なくてすごく素敵なお話ありがとうございます! (2020年8月13日 22時) (レス) id: 861a34f9ea (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ui | 作成日時:2020年8月13日 2時