報告 ページ38
事務所のソファに座っていた奏乃が、唐突に声を上げ、東矢の方を見る。
｢草薙さんっ！ 本部からっ！｣
｢んっ、本部から連絡が？｣
｢はい！｣
すぐにテレビにスマホを繋ぎ、二人でその内容を確認する。
……そこに記されていたのは、一つの建物の地図。
少し下にスクロールすれば、そこには先日倒した炎の怪人が証言したとされる言葉が載っていた。
『頭がどうにかなっていた、あの二人にこっぴどくやられて目が覚めた』
『この場所で改造されて、気付けばこの姿で街を襲うよう指示された』
『少し前までは普通の学生だったのに』
それはあのヒャッハーしていたような気狂いと同一人物とは考えられない程落ち着いた青年の姿があり、どうやら彼は組織に改造され操られていたらしい。
しかも彼は元々何も関係無かった一般人。
無理矢理誘拐されて戦わされ、そして収容された。
｢……マインドコントロール、ですか……｣
｢……組織の連中もそろそろ不味くなってくるな……｣
今までも怪人を生み出すとして警戒されてきた結社だが、ここの所は特に活動が顕著になってくる。
だが、そのお陰かその組織の一部を炙り出すことが出来た。
他にもその場所の証言情報が他怪人から上がっており、その情報はほぼ間違いなさそうだ。
｢……行くか｣
｢はい！｣
準備を整え、二人で事務所を飛び出す。
スマホ片手に空を飛ぶ。
見下ろせば、数々のヒーローが同じ方向へと向かうのが見える。
そのうち低空飛行をするに連れ、二人に近付いてきた影があった。
｢ん……ごきげんよう、お嬢様……!?｣
｢あ、柊真！｣
｢お？ 知り合いか？｣
｢……やめろ、俺は何も知らないんだ｣
｢えー？ そんなこと言ってー？｣
役作りを一瞬で撤回した柊真に笑う奏乃。
珍しいものが見れたと東矢は微笑む。
だがその時間も長くは続かない。
目的地が見えてきた。
｢……気合い入れてくぞ｣
｢はい……！｣
｢……おう｣
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作者名：クロロフィル@深緑の指揮者 x他1人 | 作者ホームページ：http
作成日時：2023年3月8日 14時
