初デート? ページ31
週末、奏乃が東矢の事務所に顔を出す。
「おう奏乃、どうした?」
「あ、あの……草薙さん、今日は暇ですか……?」
「おう、そうだな」
おどおどしながらも訊く奏乃の様子には気付かず、東矢は平然と返す。
「じゃ、じゃぁ……!」
「うさ晴らしに、どっか行くか?」
「えっ……!?」
言いたいことを先に言われ、驚きつつもなんとか返す。
「いいですけど……なんで急に?」
「いや、最近妙に張り詰めてる気がしてな、気分転換に遊びにでも行くかって思ってさ」
「……そういうとこですってホント……」
確かに最近は東矢のこともそうだが、ヒーローとして後ろ指を指されることが多い。
また増え始めてきたスパムメールや批判の数々を前に、気にしないようにしているとはいえ精神が滅入ってきてしまうのは仕方のないことである。
……しかしながら、恋愛には非常に鈍感な東矢は逆にそれ以外の奏乃のことには鋭い。
「……はい……行きたいです」
「よし決まりだな。じゃどこ行く?」
「うーん……草薙さんとならどこでもいいんですけど……」
「そうか? なら……ゲーセンにでも行くか」
「あっ、はい!」
取り敢えずあまり目立たないように軽く変装する。
特に常日頃からほぼ素顔を晒している二人であり、評判もよくない為にバレて絡まれるのは避けたい。
自分といることが見つかり、相手の評価ぎ更に下がるのだけは避けたいところであった。
「どうですかこれ」
「おういいんじゃね?」
深く帽子を被って髪を隠し、口元もマスクで隠す。
服も普段とは違うものを着て、準備万端である。
「んじゃ、行くか」
「はい!」
きっちり鍵をして、事務所を後にする二人だった。
2人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:クロロフィル@深緑の指揮者 x他1人 | 作者ホームページ:http
作成日時:2023年3月8日 14時