突入作戦 ページ24
｢……ちっと厄介そうだな……｣
何足る不覚、襲ってきた怪人二体のうち片方を倒し損ねてしまった。
何とか追跡して隠れ家らしき場所までやって来たが、魔力探知してみた所どうやら複数の怪人が同じ場所に潜み協力しているらしいことがわかった。
｢……こちら『ノーブルグリーン』、怪人の拠点らしき建物を発見、応援求む｣
耳についた通信機に手を添えて連絡するが、まぁどうせあまり来ないのだろうことは容易に想像できる。
……何より時間が惜しい。
｢……不安要素はでかいが……行くか｣
銃を構え、廃墟へと飛び込んだ東矢を出迎えたのは、ギラリと光る大量の目線。
｢おーおー十人係か？随分手厚い歓迎だ、なっ！｣
引き金を引き、挨拶代わりに三連射。
一発は回避されるが、その両脇にいた二体にダメージが入る。
｢かかれ！｣
リーダー格と思わしき、銃弾を回避した怪人の指揮で、近接戦闘を武器とする怪人が一気に前へと出てくる。
｢うおっ……っ狭いな……！｣
東矢が飛び回り回避して射撃するにはあまりにも狭すぎる屋内で、東矢は動体視力とかつての記憶を頼りに身体を捌いて攻撃を避けていく。
｢……！｣
刹那放たれた破裂音に対応して体を半身にすれば、そのすぐ横を銃弾が掠めていく。
返しの弾が撃ってきた敵を穿てば、怒って素手で突撃してくる。
｢ぐっ……｣
だが、通常状態の東矢はあまりにも非力である。
銃の威力や戦闘技術はかなりのものだが、しかしそれ以前に変身しない東矢は近接戦闘が非常に苦手である。
弾丸を二発放ち、一人の脳を吹き飛ばしたことで気付く。
……引き金が引けない。
弾が切れた。
即座に詰め直そうにも、次々襲いかかり息をぴったりと合わせるラッシュ攻撃に装填する隙が見出だせない。
｢クソ……不味いな｣
｢どうした？その程度か？｣
｢はっ、んな訳ないだろ｣
挑発は受け流し、冷静に迫る腕や足、ナイフを掻い潜るがそれでもジリ貧だ。
何とか弾を詰め直したと同時、一瞬意識を外してしまった後衛から来た弾に、気付けなかった。
｢があっ……！｣
その左肩を弾が貫通し、そこから血が流れてくる。
｢いってぇ……っ！｣
反撃に撃ってそれを沈めるも、東矢の意識は失血でくらくらしてくる。
それでも気合いで体勢を保ち、射撃と回避を続けていた。
少しずつ怪人を削っていく為に、東矢は一人戦い続けていた。
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作者名：クロロフィル@深緑の指揮者 x他1人 | 作者ホームページ：http
作成日時：2023年3月8日 14時
