新緑の使い手、パルデア地方へ (ページ3)

今日:4 hit、昨日:3 hit、合計:2,603 hit

旅立ちの日ページ3

｢…今度は僕かぁ…｣

ベッドの上で忌々しげに呟く彼の名はクロロ。

ポケモンが大好きな少年である。

｢フィーア！｣
｢ブッ｣
｢…！｣
｢あぁ、おはよう…｣

彼の足元へ駆け寄ってくるのは三体の不思議な生き物。

一匹はキツネの体の一部が植物の葉になったような見た目で、一匹は鮮やかなオレンジの体色にもふもふのたてがみが生えた生き物、一匹は赤い見た目の少年のような体格の生き物。

…勘の良い者ならばわかるだろう。

そう。

｢…まさか発売初日にパルデア地方に転移するとは…｣

ポケットモンスター、縮めてポケモン。
世界中のありとあらゆる場所に生息する、不思議な生き物。

そんな彼らの暮らす世界に、クロロは転移してしまったのだ。

そして…

｢クロロー？今日が入学日でしょう？準備は出来たの？｣
｢あ、了解｣

そう。

今日はこの地、パルデア地方の大都市であり、中心都市であるテーブルタウン、そこに位置する有名校のグレープアカデミーへと転入する日である。

椅子に掛けられたお気に入りの赤い帽子を被り、くすんだ緑のコートを制服の上から羽織る。
いつもの草タイプをイメージした靴を履き、同じく緑のリュックを背負う。
最後に黄色い手袋を装着して、準備は万端だ。

｢よし、リーファ、フレア、アルマ。一旦戻っててくれ｣

最後に三体をボールへ仕舞い、ベルトのフックに掛ける。

｢うん、似合ってるわね！はいこれ、朝食の分と学校で食べる分！こっちはお腹がすいたら食べるのよ！｣
｢ほい、いただきます｣

ここ、パルデア地方ではサンドイッチが定番料理である。

キュウリやキャベツ、ミニトマトをベーコンで挟み、チーズを乗せて焼いたものがお気に入りだ。

｢ごちそうさま｣

丁度食べ終わったその時、玄関でベルが鳴る。

｢誰かしら…クロロ！出て頂戴！｣
｢あいあいさー｣

玄関口まで歩き、ドアを開くと…

｢ごめんください。
…あなたがクロロさん、ですね？｣
｢…！クラベル校長先生…！｣

そこに立っていたのは、まさにこれから入学するグレープアカデミーが校長、クラベルであった。