町を超えて ページ17
「…とは言っても…」
コサジタウンの道を走り抜けていく。
「町自体にそんなに用はないからなぁ…」
このコサジタウン、田舎町だからか設備は殆どない。
自然に囲まれていたり民家が立ち並んでいたりするが、使える設備はどの町にもあるポケセンのみである。
「んじゃ、ダーッシュ」
「ふぃあ」
勢いそのままにコサジタウンを飛び出し、脇の小道から坂を上っていく。
南一番エリアに指定される、広大な草原。
小型のポケモンたちがのびのびと暮らす、穏やかな原っぱ。
そんな中、一人の少年が声をかけてきた。
「ねぇきみ!ポケモン連れてるってことはトレーナーだよね?」
「あ、おう」
「じゃあバトルしようよ!」
「…おう!」
…パルデア地方において、『目と目があったらポケモンバトル』という風習は根付いていない。
原因はよくわかっていないが、一部からは某生徒会長が道行くトレーナーを片っ端から潰していったからとも考えられている。
ちなみにパルデアのでバトルは、双方が合意したうえで行われる。
バトルを持ち掛け、相手がそれに応じれば、バトルは成立となるのだ。
「いくよ!ピチュー!」
「行くぞ、アルマ!」
「ピチュッ!」
「…!」
クロロが繰り出したカルボウに対し、少年が繰り出したのはピチュー。
言わずとしてた超人気ポケモンの顔、ピカチュウの進化前のポケモンだ。
「行くよ!“電気ショック”!」
「ピチュウッ!」
弱いながらも電撃が流し込まれ、アルマの体を焼く。
「ピィ…」
ピチューはまだ小さく、電撃を扱いきれていない。
故に、自分の電撃で痺れてしまうことも多い。
「ッ…」
「アルマ、“火の粉”!」
当然、その隙は見逃さない。
体の木炭を燃やし、火の粉をぶつける。
「ピィッ…!」
「ピチュー!“体当たり”!」
「“クリアスモッグ”で迎え撃て!」
体当たりを仕掛けてきたピチューに、能力変化をリセットする毒ガスを吹き付ける。
威力は低いが、それ以上に脆いピチューに対しては十分であった。
「ピチュー!」
「ぴぃ…」
「…僕らの勝ち、かな」
「うん…きみ強い!今度は絶対勝つから!」
「おう、ありがとな」
礼をして、再びアカデミーへ向かい走り出す。
アカデミーの佇むテーブルシティまで、あと少しだ。
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作者名:クロロフィル@深緑の指揮者 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ugt8ragist4/
作成日時:2022年12月3日 22時