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洞穴 ページ11

「アギャ」

目の前の何かに促されるままについて行く。

洞窟の中はやや薄暗く、上の方を見れば僅かに光が差し込んでいる。
恐らくあそこが出口なのであろうが…

「あら、岩…」

大岩に阻まれ通れない。
しかしどうするか悩んだのも束の間であった。

「アギャアッ!」

それが放った力強いエネルギー…見た目からして“竜の波動”だろうか…が、道を塞いでいた岩を木端微塵に粉砕した。

「うお…すげぇ破壊力…特殊アタッカーか…?」

その力に驚きつつ開けた道を進んでいく。
ほんの少し広い空間に出たところで、クロロがあるものに気が付いた。

「…あれは」

クロロの視線の先、彼らの立つ地面よりも上の段差に、その黒い影を確かに見た。
その姿はよく見えないが、恐らくは…

「…いや、十分ありえるか?多分あいつらのボスなんだろうな…」

そう考える間にも、それはどんどん先へと進んでいく。
ほんのり光り輝く苔が生え、ヤングースが洞窟内をうろつく。

「…!」

グルアァッッッ!!

歩き続けたその刹那、咆哮が響き渡った。

ハッとして振り返れば、そこに立っていたのは黒と白のボディをし、鋭くこちらを睨みつけてくる犬型のポケモン。

「やっぱりいるか…!ヘルガー…!」

デルビルの進化系で、同じく悪・炎タイプ。
リーダーとして統率を取り、毒素を含む炎で獲物を仕留める。

その咆哮を聞きつけてか、次々とデルビルが走り寄ってくる。

「チッ…!リーファ!フレア!キャリーフ!バーメラ!頼むぞ!」

一気に手持ちを繰り出し、何とか抵抗を試みる。

木の葉が舞い、火花が飛び散る。
その中を突撃するブースターに、合間を縫って突きまくるヤヤコマ。
吹き飛び逃げるデルビルたち。

しかし、それを感じさせない圧倒的な量がデルビルにはあった。

「クッソ、多いっ…!」

その瞬間、クロロは見た。

ヘルガーが、パーティの指揮を執る自分目掛けて“突進”してきたのを。

「…!」

ポケモンの力は馬鹿にできない。
ポケモン界最弱と噂される魚ポケモン、コイキングの体当たりですら、岩程度なら破壊できる程の破壊力を持っているのだ。

それがヘルガーともなれば、破壊力は到底コイキングの比にならない。

致命傷は免れないだろう。
良くて大怪我、悪くて即死。

(避けっ…駄目だ間に合わないっ…!)

避けようにも、もう加速したグラエナのその巨体を躱せるだけの距離はもう無い。

その無慈悲な“突進”が、クロロの命を刈り取らんと風を切り裂いた。

バチバチと、何かがスパークする音が、聞こえたような気がした。

ハドロンエンジン、起動→←戦闘



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作者名:クロロフィル@深緑の指揮者 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ugt8ragist4/  
作成日時:2022年12月3日 22時

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